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「弱い岩盤、安全対策不十分」博多陥没第三者委 最終報告案、責任所在示さず


陥没事故JR博多駅前の道路陥没事故原因を調査していた国土交通省の第三者委員会の最終報告書案が29日、判明した。事故の直接的な要因として、福岡市営地下鉄七隈線延伸工事のトンネル上部の岩盤層に「予測を超えた亀裂や弱い部分が局所的に存在した」と指摘した上で、地下水などの強い圧力に対する安全対策が不十分だったと結論付けた。
 発注者の市交通局と、施工した大成建設を代表とする共同企業体(JV)の責任は明示せず、掘削する地盤を「事故前に正確に把握するのは困難だった」としながらも、安全確保策について両者の認識不足を厳しく指摘した格好だ。工事の再開自体は否定しておらず、地盤改良や工法を含めて慎重な施工を求めた。第三者委は30日に東京で第3回会合を開き、事故原因と再発防止策を正式に公表する見通し。

 事故は昨年11月、地下約20メートルの岩盤層でトンネルを掘っていた時に発生。西日本新聞が入手した報告書案によると、現場の上部には地下水を含むまとまった砂質層があり、その真下の風化した岩盤層には亀裂などがあった。こうした岩盤を掘削したため、水圧が作用して亀裂や緩みが「水みち」(地下水の通り道)となり、連続的な剥落と漏水が起きて大規模な陥没につながったと推定している。
 具体的には(1)岩盤層の潜在的な亀裂や弱い部分を適正に評価できなかった(2)亀裂や弱い層が水みちとなり、局所的に水圧が掘削面にかかった(3)岩盤の遮水性や水圧に対する耐力の限界について、工学的判断が不足していた(4)止水のため地上からの薬液注入(地盤改良)を実施しなかった−可能性を列挙した。市とJV側は落盤対策として地上からではなく、トンネル内部から斜め上に打ち込んだ鋼管を通じて薬液を注入する補助工法を選んでいた。
 報告書はまた副次的な要因として、トンネルの天井を約1メートル低く設計変更し扁平(へんぺい)な断面にしたことで天井の強度が低下した▽補助工法の一部鋼管を切断したことで鋼管が上下に重なる部分が短くなった−可能性も指摘した。
 工事再開と今後の設計施工に向けた留意点も明示。大型ドリルで掘り進むと同時に壁面を補強する「シールド工法」や新技術の活用も含め、安全面を重視した施工を促している。
西日本新聞

 


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