就活ルール廃止、企業に困惑=実情反映と評価も―経団連会長発言で
- 企業・経済
- 2018年9月4日
経団連の中西宏明会長が、2021年春以降に入社する学生への会員企業の採用活動に関し、経団連が定めている面接解禁などの統一ルールを廃止する意向を表明した。大手企業からは、突然の会長発言に「何でもありにならないか」と困惑の声が上がる一方、「実情に即している」と評価する向きもある。ルール廃止で採用活動が早期化すれば学業にも影響しかねず、企業や学生など関係者が納得できる着地点を見いだすまでには曲折が予想される。
中西会長の発言の背景には、ITベンチャーなどによる早期の就活実施の影響で、経団連のルールが形骸化している事情がある。リクルートキャリアによると、面接など企業の選考活動が解禁された今年6月1日時点で、大学生の就職内定率は68.1%。就活を行う学生の3分の2以上が解禁日に内定を得ていた格好だ。
一方、近年の新卒採用で計画通りの人数を確保できている企業は半数に満たない。就職・転職情報サービスのマイナビによると、19年春の採用に関する事前調査で、今年5月までに面接を行うと答えた企業が8割超、内定を出すと答えた企業が7割近くに達した。人手不足感が強まる中、ルールを正直に守れば必要な人材確保は難しくなる。
このため「解禁前にインターンで青田買いしているのが実態で、ルール廃止は実情に即している」(小売り大手)、「採用の多様化など現状の方向性に沿っている」(飲料メーカー)などと、中西会長の発言に肯定的な声が聞かれた。
ただ、「人気企業の内定が早まれば青田買いされるし、遅くなれば自分の会社の内定キャンセルが続出する。何でもありは悩ましい」(電機大手)と当惑する企業や、「影響を見極めて対応を判断する」(自動車大手)と様子見の企業も多い。ある金融機関の採用担当者は「企業にとって通年採用は負担になる」と指摘。別の金融機関幹部は「採用活動が早まり、就活が長期化すれば学業の阻害につながる」とルール廃止に反対する考えを鮮明にした。
一言コメント
過去にもそういう時代があった。
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