厚労省“ブラック企業リスト”更新 「引っ越しのサカイ」支社が追加
厚生労働省はこのほど、労働基準関係法違反の疑いで送検された企業のリストを更新した。7月までの分として56社を追加した一方、厚労省が「掲載の必要性がなくなった」と判断した企業を削除し、掲載企業は429社となった。
このリストは、2017年5月に初公開。公表から1年がたったため現在は削除されているが、当初は電通本社やパナソニックなどの大企業が名を連ねる“ブラック企業リスト”として話題を呼んだ。
今回の更新では「引っ越しのサカイ」の愛称で知られる、サカイ引越センターの奈良南支社(奈良県大和郡山市)がリスト入りした。
労務関連情報の専門紙「労働新聞」の報道によると、同社では17年9月、20代の労働者が引っ越し作業中にトラックの荷台から飛び降り、着地に失敗。左足を骨折して19日間の休業を余儀なくされたが、4日以上の休業が起きた際に労働基準監督署に提出する義務がある「労働者死傷病報告書」を提出していなかった。
関係する労働者から労基署に相談が寄せられたことで発覚し、同社は約8カ月遅れで報告書を提出したという。
リスト入りした要因とは異なるが、同支店では13年~18年にかけて、引っ越しで不要になったエアコンを違法に回収業者に売り渡していたため、経済産業省と環境省から是正勧告も受けていた。
更新されたリストには、ビル解体工事において石綿(アスベスト)を除去する際、作業場所を隔離せず、飛散防止対策を行わなかった解体事業者「岩手ハツリ工業」(盛岡市)、労働者1人に5カ月分の定期賃金を支払わなかった歯科医院「依田歯科医院」(長野県佐久市)――なども追加された。
広島県福山市などで障害者の就労支援施設を運営していたものの、経営難から障害者を含む約140人の従業員を解雇し、広島地裁に破産を申し立てた「しあわせの庭」もリスト入りしていた。
同社は従業員を即時解雇した際、解雇予告手当を支払っていなかった。また、131人の1カ月分の定期賃金約1272万円が未払いだった。
一言コメント
これも氷山の一角だ。
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