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あのマンダムに「オヤジ世代」も食いつくワケ


マンダムの主力ブランドといえば「ギャツビー」。ブランドの立ち上げから今年で40年を迎える。一方で中高年層向けに展開する「ルシード」も順調に伸びている(記者撮影)

「マンダム」の印象を聞かれたら、カラフルな丸いケースのヘアワックスや、フェーシャルペーパーを思い浮かべる男性が多いのではないだろうか。高校生の頃に通学かばんに忍ばせていた人も多いことだろう。

これらは、若者世代向けに化粧品メーカーのマンダムが出している「ギャツビー」ブランドの製品の数々だ。ブランドの立ち上げから今年でちょうど40年をむかえるが、今でも男子高校生を中心に高い認知度を誇っている。

スメハラ対策の製品が好調

マンダム自体も業績は堅調で、2011年3月期から8期連続で売り上げを伸ばし続ける。ただセグメント別に見ると、全体売り上げの約6割を占める男性用事業はここ数年微増止まり。同社が展開するクレンジングブランド「ビフェスタ」など女性用事業の伸び率に比べると、やや見劣りする。

マンダムの西村元延社長は「ここ数年、男性美容への意識が高くなってきた」と話す(記者撮影)

そうした中で新たなトレンドとして期待されるのが中年男性層、いわゆる”オヤジ世代”を対象とした商品だ。

マンダムは若者向けのギャツビーとは別に、40代以上をターゲットにした「ルシード」を展開しており、スキンケアやヘアスタイリング剤、白髪染めなど中高年層の需要に合った製品を幅広く扱っている。

西村元延社長は「以前はなかなか購入に結び付かなかったが、ここ3、4年のルシードの推移を見ていると男性美容への意識が高くなってきたように感じる」と話す。

中高年層の購入を後押ししているのが、ルシードで展開している「ニオイケアシリーズ」だ。マンダムが男女1000人ほどに実施したアンケート調査では、職場の男性の身だしなみで最も気になるのが体臭(ニオイ)だということが判明。さらに、40代以上の男性の大半が自分自身の体臭を気にしていることもわかった。

そこでルシードでは2014年から同シリーズを展開。頭からつま先までニオイを制御するため、シャンプーやボディソープ、ボディペーパーなどラインナップを続々と強化している。直近では脇に直接塗るロールオンタイプのスティックを投入。原材料には汗の吸収力が高い活性炭を使用。活性炭は白色化されているので、地肌に塗っても黒くなることはない。

アジアのオヤジも取り込む

ここ最近の男性化粧品市場のトレンドについて、西村健・常務執行役員は「市場自体はここ数年横ばいが続く。この先の人口動態を考えると、40代以上向けはマーケットチャンスがあると感じている」と口にする。今後も中高年層のトレンドを踏まえて商品の投入を図っていく予定だという。

マンダムの主戦場は国内だけにとどまらない。実は同社の売り上げは国内と海外の比率が6対4となっており、海外の比率は年々高まってきている。現在、海外事業の大半を占めているのがインドネシアだ。マンダムは競合他社に先駆け、1969年に現地法人を設立。ギャツビーでヘアスタイリング剤などを展開している。

インドネシアで流行している髪型「バーバースタイル」。ヘルメットをかぶっても髪型がくずれない特徴を持つ(写真:マンダム)

インドネシアで人気が高い理由には特有の文化が挙げられる。同国の主要交通手段はバイク。ヘルメットをかぶっても髪型が崩れないよう、しっかり整髪のできるヘアスタイリング剤のニーズがあった。そこでウケたのが、マンダムから発売した「ウォーターグロス」と呼ばれる整髪剤だった。

インドネシアは所得格差が激しいため売り方も工夫している。インドネシアの街中でよく見掛けるのは、食品から日用品まで取りそろえる個人商店。そこでヘアスタイリング剤を1回分の小袋ごとに分けて販売している。

他方、マンダムの重要市場である東南アジア諸国にも徐々に高齢化の波が押し寄せる。西村社長は「海外でも日本と同じような切り口でアンチエイジングというわけにはいかない。地元の人々はもはや老化を受け入れてしまっているとの印象を持っている」と述べながらも、「市場は必ずある。少子高齢化しているのだからマーケットは大きい」と期待する。

国内市場も、少子高齢化で若者世代が減る中、新たな市場として期待できるのが中高年世代。国内外で若者世代からオヤジ世代のマンダムへ脱皮することはできるか。


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