<スイーツ>クリスピー・クリームが掲げる再挑戦とは
- 企業・経済
- 2018年3月21日
行列ができるドーナツ店として知られた「クリスピー・クリーム・ドーナツ」が、また“出店”攻勢をかける--。2017年1月に国内1号店の「新宿サザンテラス店」を閉店した際、「あの行列店がなくなるのか」と話題になったクリスピー。今後、日本でどう生き残っていくのか。クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン(東京都渋谷区、KKDJ)の若月貴子社長が、今後の戦略を語った。【岡部恵里】
◇生き残るための閉店
1937年に米国で創業したクリスピー。日本には06年に上陸し、15年までは店舗数を拡大。最大64店舗まで広げたが、一転、大量閉店にかじを切り、現在は関東、東海、関西の3大都市圏を中心に43店舗を展開(17年度末)。14年度から3期連続で最終赤字が続いているのが現状だ。
閉店の理由について、若月氏は「目先の成長よりも20年後、30年後、日本のお客さまに愛され続けるブランドとなるために、生き残るために閉店させた」と語る。従来の出店ありきの急速な拡大路線から転換をはかるため、大量閉店を実施したという。クリスピーの象徴的な店舗でもあった「新宿サザンテラス店」の閉店についても「契約満了だったから」と一言。「我々はもう、はやりもののお店ではないんですよ。行列のできるドーナツ屋さんからは脱却したい」
◇既存店を強化し、初の売上高プラスへ
一方、大量閉店後は既存店の強化を図ってきた。とくに16年、17年度は既存店のサービス向上に力を尽くした。店頭で、お勧め商品の説明、公式アプリの紹介などを徹底したところ、客の満足度も平均単価も上がったという。
その結果、17年8月から7カ月連続で既存店の売上高がプラスとなった。これは日本上陸後、初めてのことだという。これまで売上高がマイナスだった要因について、同社マーケティング部の関舞奈さんは「出店初年度が爆発的に売れてしまい、翌年度以降はそれを上回ることはできなかった」と振り返る。「当時のクリスピーは、既存店の売上高よりも“出店”ばかりに力を入れていた。その反省を生かして16年度以降は強化する店舗をしぼった」と若月氏も当時を振り返りつつ、「(初の売上高プラスで)やっと次の成長に踏み出せる基盤ができてきた」と満足げに話す。
◇3年ぶりに出店再開
「18年度は再成長への挑戦として、3年ぶりに出店を再開します」。若月氏によると、10~20店舗増加させる予定で、出店地域は力を入れている3大都市圏になるという。
店舗デザインも大幅に変更。これまでは都市型も郊外型も同じような店舗づくりをしていたが、今後は地域にあった店舗デザインに変えていくという。都市型は客席数を減らし、くつろげる空間を演出。郊外型はファミリー層が使いやすいように、子供向けの設備などを配置する。3月15日にリニューアルオープンした「有楽町イトシア店」は、木目調の落ち着いた空間に生まれ変わった。29日には「渋谷シネタワー店」もリニューアルする予定だ。また持ち帰り専用の店舗は、同社の12個入りのドーナツボックス「ダズンボックス」をイメージした新デザインを採用するという。
イートイン限定のモーニングメニューなど、新商品も多数打ち出しているクリスピー。同社の調査によると、客の不満として一番多い意見が「店舗が近くにない」ことだという。若月氏は「お客様に触れてもらうポイントを増やしていき、最高のドーナツ体験を提供し続けていきたい」と話している。
一言コメント
行列だったころが懐かしい。
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