有機ELテレビに値頃感 半年で10万円安、液晶との価格差縮小
- 企業・経済
- 2018年1月24日
高精細な画質の有機ELテレビが大幅に値下がりしてきた。調査会社のBCNによると、家電量販店やネット通販の平均価格は昨年12月に34万4800円(税抜き)と半年前と比べて約10万円(20%超)安くなった。年末商戦を経て、液晶テレビとの価格差が縮小し値頃感が出てきており、今年は買い替えの動きが広がる可能性がある。
ビックカメラ有楽町店(東京都千代田区)の売り場では、国内メーカーの55型の有機ELテレビの店頭価格は今月中旬時点で37万~43万円(税抜き)。販売担当者は「主要各社の製品が出そろった昨年6月は1インチ1万円程度のイメージだったので、大幅な値下がりで売りやすくなった」と語る。
ビックカメラグループの昨年12月の高画質な4Kテレビの販売台数は前年同月と比べ5割程度増えたが、牽引(けんいん)役になったのは有機ELテレビだという。
バックライトで画面を光らせる液晶とは違い、有機ELは発光材料そのものが光る自発光方式のため、薄くでき、明暗をくっきりと表示できるなど画質にも優れる。
一昨年までは韓国LG電子しか発売していなかったが、昨年3月に東芝、6月にパナソニックとソニーが相次ぎ発売。付加価値の高い目玉商品としてメーカー、量販店とも販売促進に力を入れ、初期の値段の高さも相まって販売競争で大きく値を下げた格好だ。
一方で、有機ELと競合する大型の液晶テレビはこの半年で値下がり幅は小さかった。このため、BCNによると、有機ELと液晶の価格差は、55型で有機ELの方が同6月に20万円程度高かったのが、同12月には14万円程度にまで縮小した。
BCNの調べでは、有機ELテレビの販売は昨年12月に半年前の約4倍に増えた。BCN総研の森英二チーフアナリストは「価格が下がれば、さらに販売は伸びる」と話す。家電量販店を展開するノジマが年内にプライベートブランド(PB、自主企画)の有機ELテレビを市場価格の半額程度で投入する計画もある。
有機ELテレビの価格はパネルの調達コストが左右する。現在、量産できるのは韓国LGディスプレー1社で、各社ともパネルの調達を頼る構図だ。シャープやジャパンディスプレイはパネルを開発中で、独占が崩れれば、テレビの値段も下がる見通しだが、量産にいつこぎ着けるかは不透明な状況となっている。(万福博之)
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もうちょっとがんばって、お手ごろ価格になってほしい。
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