2018年「変わる税制」総まとめ 得する人と損する人は?
- 企業・経済
- 2018年1月16日
平成30年度税制改正大綱が閣議決定された。今後、国会を通過すれば4月から順次、施行されることになる。すでに、前年度の税制改正で2018年1月から変更になっているものもあるが、私たちの生活との関連が深い税制の変更をおさらいしておこう。
配偶者控除(2018年1月から)
2017年までは妻の年収が103万円以下なら夫は38万円の配偶者控除を受けられたが、103万円を超えると配偶者特別控除となって控除額は段階的に減少していた。
2018年1月からは、38万円の控除が受けられる妻の年収が103万円から150万円まで引き上げられた。さらに配偶者特別控除も年収201万円以下まで拡大され、控除を受けるため勤務を制限していた人はより多く働けるようになる。
ただし一方で、夫の年収要件が厳しくなった。1120万円を超えると受けられる控除額が減っていき、年収が1220万円を超えるといずれの控除も受けられなくなるのだ。
夫の年収が高いほど所得税率が高いので、控除による節税効果は大きくなっていたが、2018年からは夫の年収が一定額を超えると妻が働き方を調整すること自体に意味がなくなるので注意したい。
賃上げする企業への減税(2018年4月から)
企業の賃上げを後押しする減税もある。3%以上の賃上げや設備投資、人材育成に一定の投資をした大企業には、増やした給与総額の最大20%を減税する。中小企業に対してはさらなる優遇があり、2.5%以上の賃上げなどの要件を満たせば最大25%を法人税額から差し引けるようにする。
この減税策に企業がどこまで反応してくれるかは未知数だが、勤務先の対応に期待したい。
たばこ税の増税(2018年10月から)
愛煙家にはつらい増税も予定される。たばこ税の税率を1本あたり3円引き上げられる。増税は一度にではなく、2018年10月から1円ずつ、三段階に分けて実施される予定だ。
年収850万円超の会社員は増税、フリーランスは減税(2020年1月から)
会社員向けの給与所得控除と年金に適用される公的年金等控除が一律10万円減額されることに。すべての人に適用される基礎控除を10万円増やすので、年収850万円以下の人なら相殺されて増税にも減税にもならない。給与所得控除のない自営業者やフリーランスは減税となる。
一方で、給与控除額の上限も220万円から195万円に引き下げられることから、年収850万円超の人は増税となる。ただ、子どもや介護が必要な人がいる場合は、増税の対象外となる。年金受給者では、年金収入が1000万円を超える人や年金以外の所得が1000万円を超える人は増税となる。
海外旅行時に1000円の課税(2019年1月7日以降)
海外旅行に行く際にも税が課されるようになる。日本からの出国時に一人当たり、定額・一律で1000円の負担だ。家族4人で海外旅行に行く場合は4000円かかることになるので予算に入れておきたい。
文■森田悦子(ファイナンシャルプランナー/ライター)
一言コメント
いずれにしろ得する人でありたい。
コメントする