経済・物価の改善続けば、金利調整検討が必要になる可能性=日銀・主な意見
- 企業・経済
- 2017年12月28日
[東京 28日 ロイター] – 日銀は28日、今月20━21日に開催した金融政策決定会合で出た「主な意見」を公表した。物価上昇が緩やかであり現行の「長短金利操作(イールドカーブコントロール、YCC)」を粘り強く継続すべきとの意見が主流となる中で、経済・物価の好転が続くなら金利水準を調整すべきとの意見があったことが分かった。上場投資信託(ETF)買い入れの副作用点検についても意見が出た。
足元の物価については「上昇傾向を示しているが、(企業・家計の物価見通しである)予想物価上昇率の形成が(過去に引きずられ)適合的なため、(目標の)2%に達するにはしばらく時間がかかる」、「物価上昇率はエネルギー価格の影響を除くと高まっていない」などの意見があった。
<韓国と比べても政策調整は時期尚早>
このため政策運営についても、「2%達成にまだ距離がある現在は、現状維持が妥当」、「予想物価上昇率引き上げに時間がかかる可能性があることを踏まえ、強力な金融緩和を息長く続けることが重要」といった意見がみられる。
ある委員は韓国中銀の利上げを例に挙げ、韓国では「物価が1.5%程度でアンカーされ、実質GDP(国内総生産)は平均3%以上で成長している。韓国と比べても日本の金融政策の転換は時期尚早」と発言している。
<ETF買い入れ、副作用など検討必要>
そうした中で、「今後2%に向けて物価が上昇し、経済の中長期的な成長力が高まるもとでは、金融政策の効果は強まることになる」として、「政策の副作用も考慮しながら政策運営にあたることが必要」との意見が出た。
また「経済・物価情勢の改善が続くと見込まれた場合、(政策の)持続性を強化する観点も含め、金利水準の調整の要否を検討することが必要になる可能性もあるのではないか」との指摘もあった。
ETFなどリスク資産の買い入れについても「政策効果と考えうる副作用についてあらゆる角度から検討すべき」との意見が出た。
(竹本能文)
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