ルーマニア大統領選、極右の有力候補が出馬禁止へ 米国は反発か
- 国際
- 2025年3月10日

ルーマニア中央選管は9日、大統領選の最有力候補と目されていた極右政治家のカリン・ジョルジェスク氏の出馬を認めないと決めた。欧米メディアが一斉に報じた。ジョルジェスク氏は昨年11月に行われた大統領選の第1回投票で首位となり決選投票へ臨むはずだったが、SNS(ネット交流サービス)を通じた世論操作が行われていた疑いが浮上。選挙自体が無効とされ、5月にやり直す異例の展開となっていた。
一方、米トランプ政権は選挙の無効判断を批判してきた。ウクライナ情勢への対応で溝が広がる欧米関係が、ルーマニア大統領選を巡ってさらに混迷する可能性もある。
ジョルジェスク氏はルーマニアも加盟する北大西洋条約機構(NATO)に懐疑的で、ロシアのプーチン大統領を「愛国者」とたたえるなど、言動が物議を醸してきた。ただ、トランプ政権は、大統領選を無効にしたことをバンス副大統領が「表現の自由」に違反すると批判するなど、ジョルジェスク氏を間接的に支持してきた。
ジョルジェスク氏は国内の世論調査でも4割と高い支持率を誇る。5月の大統領選への出馬を7日に届け出たが、中央選管は過去の言動などが過激思想を禁じた法律に違反しているとして認めなかった。
出馬禁止を受け、ジョルジェスク氏はX(ツイッター)に「欧州は今や独裁制となり、ルーマニアは圧制下にある」と投稿した。トランプ政権下で「政府効率化省(DOGE)」を率いる実業家イーロン・マスク氏もXで中央選管の決定は「クレージーだ(まともじゃない)」と批判した。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、ジョルジェスク氏が中央選管に抗議した場合、憲法裁判所が12日までに出馬の可否を最終判断する。
昨年11月の大統領選では、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」などで人為的にジョルジェスク氏に有利な投稿が拡散された疑いが浮上し、ロシアが関与した可能性も指摘された。決選投票直前の12月6日、憲法裁判所が選挙結果を取り消していた。
毎日新聞より転用
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