駐英NZ大使が更迭、トランプ氏の歴史知識に疑問投げかけ
- 国際
- 2025年3月8日
(CNN) ニュージーランドのフィル・ゴフ駐英国大使が、ロンドンでのイベントでトランプ米大統領の歴史の知識に疑問を唱えた後で解任されていたことが分かった。
オークランド市長や外相を務めた経歴を持つゴフ氏は4日、英シンクタンク王立国際問題研究所(チャタムハウス)のイベントで発言。「私はチャーチル(元英首相)が下院で1938年に行った演説を読み返していた。ミュンヘン会談の後の演説で、チャーチルは(当時の首相の)チェンバレンに向かってこう言った。『あなたは戦争と不名誉との間で不名誉を選んだわけだが、それでも戦争をもたらすことになるだろう』」と述べた。
続けて、「トランプ大統領はチャーチルの胸像を大統領執務室に戻した」「しかし彼が本当に歴史を理解していると、あなた方はお考えか?」と問いかけた。
ここでゴフ氏は、ロシアとウクライナの戦争終結に向けたトランプ氏の取り組みを38年に結ばれたミュンヘン協定になぞらえている。当時、英仏独の首脳が調印したこの協定はヒトラーに対し、チェコスロバキアの一部の併合を認める内容だった。ヒトラーは翌年ポーランドに侵攻。第2次世界大戦が勃発した。
ニュージーランドのピーターズ外相はこの後、上記の発言を理由にゴフ氏を更迭した。その際、別の国に対する発言であっても同様の措置に踏み切っただろうと述べた。
ピーターズ氏は記者団に対し、「たとえ彼(ゴフ氏)の発したコメントがドイツやフランス、トンガ、サモアについてのものであったとしても、私は対処せざるを得なかった」と説明。その上で、ゴフ氏とは仕事も一緒にしてきた旧知の間柄だとし、今回の発言には「深く失望している」と付け加えた。
ピーターズ氏はさらに、大使の地位にある者はその国の政府や政策を代表する存在だと強調。そこではニュージーランドの顔にふさわしい思考が求められるとの見解を示唆した。
一方で、今回の更迭に対しては批判的な意見も出ている。
ニュージーランドの元首相、ヘレン・クラーク氏はX(旧ツイッター)への投稿で更迭理由への不満を吐露。最近出席したミュンヘン安全保障会議に言及し、現地では多くの人が38年のミュンヘン会談と現在の米国の行動との類似点を認識していたと指摘した。
CNN.co.jpより転用

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