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『おむすび』渡辺直美が演じた“伝説のギャル”役の裏設定とは “無理にでも笑おう”の真意


 NHK連続テレビ小説『おむすび』が現在放送中。平成元年生まれの主人公・米田結(橋本環奈)が、どんなときでも自分らしさを大切にする“ギャル魂”を胸に、栄養士として人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”。

 第80話では、渡辺直美演じるアキピーがついに本格登場。東日本大震災の被災者である彼女に歩(仲里依紗)が衣服を送るなどしてきたが、「唯一無二の鬼ギャル」といった気になる情報だけが明かされ、詳細は描かれてこなかった。  

第16週の演出を担当した松木健祐は「アキピーは若い頃に地元・岩手でギャルをやっていて、東京に出てきてからは当時流行したギャル雑誌に出ていました。当時のギャル雑誌には実際に面白い企画ページがあったりして、アキピーもそこで紙面を盛り上げていたと。そのときに知り合ったのが歩とチャンミカ(松井玲奈)で、『3バカトリオ』と呼ばれながらいつも一緒に笑っていたんです」と3人の関係性を語る。  

さらに、アキピーのキャラクターについて「脚本の根本(ノンジ)さんとは、セルフリメイクをした服を着てくることがポイントだと話しました。彼女たちにとってファッションは命であり、自分を元気づける大切なアイテムなんですよね。仮設住宅はあまり色のない世界だと思いますが、そういった中でも彼女なりに色のあるものを一生懸命紡いで、あえて着てきたというのが、造形的には一番大きなところだと思います」と説明した。 「アユ(歩)言ったべ、『辛いときこそ笑おうよ』って。『泣きそうなこととか嫌なこととかいっぱいあるけど、かわいいメイクして、おしゃれして、笑っていればなんとかなる』って。あの言葉、うち忘れたことない」  

そう語ったアキピーは「今回の地震だってまだまだ大変だけど、笑って乗り越えてやるわ」と豪快に笑い、その姿に歩たちは励まされる。  

そんなアキピーの人物像は、制作スタッフの長年にわたる被災地での取材経験によって生まれたもの。制作統括の真鍋斎は「様々な取材を通して、この物語において何が救いになっていくのかと考えると、おそらく歩の『自分は本当に心の底から笑ったことがあったのだろうか』という問いが、ものすごく大きなテーマになるのではないかと。歩は“本当に笑えた日々”は渋谷時代にあったことを思い返して、東北出身のアキピーに物資を送ることになりますが、それが結果として自分自身の笑顔につながっていく。笑う門には福来るみたいな話ですが、実際、被災地の方を取材する中でも、精神的なところでは『無理にでも笑おう』というメッセージが一番強く伝わってきました」と、展開の意図を明かした。

 ドラマでは阪神・淡路大震災、東日本大震災という2つの地震を描いているが、真鍋は「東日本大震災では、すでに阪神淡路大震災という都市型の大きな地震を経験している、という違いが大きいと思います。取材をしていて一番感銘を受けたのは、やはり神戸の方々が東北へ行ったり、あるいは支援物資を送ったりすることには説得力がある。いろいろな痛みが共有できるのは、とても意味のあることだと感じました」と思いを語る。 「たとえば阪神・淡路大震災の経験からDMAT<災害派遣医療チーム>が設立されましたが、栄養士でもそういったチームを作らなければいけない、との思いで活動を始めた方がいらっしゃる(阪神・淡路大震災で被災した経験を持つ栄養士が、東日本大震災での現地ボランティア後にJDA-DAT<日本栄養士会災害支援チーム>を設立している)。そうやって大きな地震を経験するたびに、人々の考え方もステップアップしているということを意識しています」(真鍋)  

アキピーの言葉によって、歩はどんなときでも笑っていようと心に決める。古着屋・ガーリーズの窃盗事件、さらにはさくら通り商店街の存続危機など問題は山積みだが、これまで以上にパワフルに、笑顔で困難を乗り越える歩に期待したい。

リアルサウンドより転用

リアルサウンド

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