関西電株が過去最大の下げ、5000億円超の増資嫌気-電力が下落率1位
- 政治・経済
- 2024年11月15日
(ブルームバーグ): 関西電力の株価が過去最大の下落率を記録した。公募増資などで最大5049億円を調達すると13日に発表したことで、株主価値の希薄化や将来的な売り圧力の増大を懸念する売りが強まった格好だ。
関西電株は14日の取引を前日比18%安の1954.5円で終え、下落率はブルームバーグのデータが入手可能な1974年以降で最大となった。他の電力株にも連想売りが広がり、東証33業種の電気・ガス業指数6%安で下落率1位。同日の東証株価指数(TOPIX)は0.3%安だった。
フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は、電力会社は通常社債発行で資金調達するケースが多く、「公募増資の形を取ったこと自体に少しサプライズがある」と分析。電源効率化や脱炭素化向けの設備投資資金や再生可能エネルギーに向けたものなら、公募増資でなくても良かったのではないかとみている。
関西電の発表資料によると、公募による新株発行などで同社の発行済み株式総数は約9億3873万株から最大約11億1612万株に増加する見込み。液化天然ガス(LNG)火力発電所などの設備更新、データセンター・不動産・再生可能エネルギーなどの成長事業拡大に向けた投融資資金などに充当する予定だ。
クイッディティー・パートナーズのアナリスト、トラビス・ランディ氏は関西電の発表は十分に市場で周知されていなかったと指摘。配当金も十分な額でないため、増資の魅力を高めるまでには至っていないとの認識を示している。
社債の発行時に中国電力や東北電力が上乗せ金利(スプレッド)を拡大せざるを得ないなど、安定的な経営基盤を背景に頻繁に社債を発行する電力会社は資金調達コストの上昇に直面している。日本銀行は今年に入り2度の政策金利引き上げを行い、さらなる利上げ観測も根強いことから国内金利は上昇傾向にある。
Bloombergより転用
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