西田敏行さん死去に釣りバカ脚本・山田洋次監督「喪失感」 みち子役・石田えりや2代目・浅田美代子もハマちゃん悼む
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- 2024年10月18日
映画「釣りバカ日誌」シリーズなどに主演し、人間味のあるユニークな演技で親しまれた俳優の西田敏行(にしだ・としゆき)さんが東京都世田谷区の自宅で死去したことが17日、明らかになった。76歳だった。また、西田さんの代表作である「釣りバカ日誌」シリーズの共演者らが突然の死を悼んだ。
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数々の出演作がある西田さんだが、中でも“代名詞”ともいえるのが「ハマちゃん」こと浜崎伝助を演じた「釣りバカ日誌」シリーズ。1988年公開の第1作は渥美清さんの「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日」との二本立てで当初は続編の予定はなかったが、ヒットしてシリーズ化。2009年まで計22本が作られた。
趣味の釣りに熱中するハマちゃんと社長で釣りの弟子のスーさん(三國連太郎さん)による珍道中。バブル期を象徴する「モーレツ社員」「企業戦士」と対極にある趣味人間を愛嬌(あいきょう)たっぷりに演じた西田さんは、渥美さんに続く“国民的俳優”となった。「釣りバカ―」の脚本を手掛けた山田洋次監督(93)は「喜劇のヒーローを演じる役者を僕たちは失った、という喪失感の中にいます」と追悼した。
ハマちゃんの妻・みち子を演じた石田えり(63)は「黙っていてもツーカーな感じで、そのまま自然に役になれた気がします。あんなに心安まる楽しい時間はありませんでした」と追悼。2代目みち子役の浅田美代子(68)は「いつも笑顔のハマちゃんが亡くなってしまうなんて、どう信じたらいいのでしょう。三國さんが亡くなった日に、2人で献杯しましたね。今日私は一人で献杯します」と別れを惜しんだ。
西田さんは高校時代に三國さんの主演映画「飢餓海峡」(65年)を見て、三國さんの付き人になろうと決意。共演者となっても常に憧れの存在で「表現者としての僕の7割ぐらいは三國さんの影響」と敬意を表した。「毎回、三國さんは別れ際に『これで最後にしようね』とおっしゃるんですけど、次の作品の時期が来ると『西田君がいいならやろうよ』と言ってくださった。それで22年間続いちゃった」と語っていた。
〇…「釣りバカ―」で、子役として西田さん演じるハマちゃんの息子・鯉太郎を演じたJRAの菅原隆一騎手(32)=美浦・小野厩舎=が西田さんを追悼した。最後に会ったのは中学入学前だったと振り返り「JRAの広告のお仕事もなさっていたので、機会があったら胸を張って会いたかったです。残念です。ご冥福(めいふく)をお祈りします」と話した。
◆「釣りバカ日誌」 作・やまさき十三、画・北見けんいちによる同名コミックの映画化。釣りが好きな建設会社のさえないヒラ社員・浜崎伝助(ハマちゃん)が謎の老人・鈴木一之助(スーさん)に釣りの手ほどきをするが、実は自社の社長だったことから始まるドタバタが描かれ、22本が製作される人気シリーズとなった。15年にはテレビ東京系で「釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助」のタイトルで連ドラ化。西田さんがスーさん役を務めた。
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