県内の詐欺被害、昨年比100件超増 県警「危機的状況」
大分県内で、今年に入って電話やSNSを利用した詐欺の被害が急増している。県警によると、9月末までに、特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺被害は昨年同時期を100件以上上回る365件発生し、確認された被害は総額約14億3370万円にのぼる。県警は「危機的状況」として、県民への注意喚起と手口周知の徹底を目指している。
生活安全企画課によると、親族などをかたるオレオレ詐欺や架空料金請求などの特殊詐欺が153件で約1億8195万円、SNSを通じて有名人をかたる投資話や恋愛感情につけ込む、SNS型投資・ロマンス詐欺が212件で約12億5175万円。昨年同時期はあわせて262件、計約9億6474万円だった。
また、特殊詐欺では20代の被害者も増えている。9月末までの特殊詐欺被害153件のうち一番多いのが65歳以上で55件(35.9%)、次が20代の33件(21.6%)となっている。昨年は被害件数206件のうち20代は10件(4.9%)で、4倍以上となっている。
被害は10月に入っても続いている。県警は8日までに特殊詐欺の被害23件、計1億5705万円を認知した。電話で警察官や検察官をかたる詐欺が目立つ。4~6日の3日間で大分市内の70~90代の女性6人が、計8070万円の被害に遭った。10日にも別府市の50代男性がSNS型ロマンス詐欺で約3737万円の被害に遭ったことが判明した。
近頃多いのはこんなケースだ。女性宅の固定電話に「暴力団員を捕まえたところ、あなたの口座にお金を振り込んでいる」「このままではあなたも共犯者になる」「紙幣の番号を調べる必要がある」「誰にも話さないように」などと連絡してくる。被害者は信じてしまい、相手の指示通りに自宅の軒先や駐車場のほか神社の境内などに引き出してきた現金を置いてだまし取られる。
警察官らをかたる詐欺では、スマートフォンでビデオ通話を利用する手口もあるという。ビデオ通話で警察手帳や制服姿の警察官を見せたり、逮捕状を示したりして信じ込ませるという。
担当者は「通信技術の進歩に伴って手口が巧妙化している」と指摘。だまされないように、電話がかかってきてもできるだけ相手と話さないことや、詐欺の手口を知って、被害にあうかもしれないことを意識することが大切だと呼びかけている。(大村久)
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