クラシックカー投資うたい50億円超集金か 実際は車なし…再逮捕へ
高額なクラシックカーを仕入れてレストア(復元)するビジネスへの投資を募ったとして、兵庫県警に詐欺容疑で逮捕された男(42)が約56億円を集めた一方で、30億円以上が償還されない恐れがあることが捜査関係者への取材でわかった。
男は「車を仕入れていないことがあった」と供述しており、県警は多くのケースでビジネスの実態がなかったとみている。
■「投資すれば6~7%上乗せする」
県警によると、男は自動車修理仲介業、室崎泰夫容疑者=東京都渋谷区。このビジネスへの投資を持ちかけて約4億円をだまし取った疑いで9月に逮捕された。県警は10月1日にも、別の投資者に対する約1億4千万円の詐欺容疑で再逮捕する方針。いずれも車を仕入れた形跡はないという。
捜査関係者によると、室崎容疑者は表向きには、生産が終了したフェラーリやポルシェといったクラシックカーを仕入れ、「レストア」と呼ばれる復元・修理を自ら行ったうえで転売。売却益の一部を配当などの形で投資者に還元する、と説明していたという。
押収した資料などから、こうした投資を2020年ごろから募っていたと県警はみている。神戸市内で経営していた自動車関連会社(昨年破産)や、東京都内の別の企業などを窓口に、主に口コミで約70の個人・法人から50億円以上を集めていたという。
実際にクラシックカーを仕入れたり、投資者に償還したりしたケースも一部あるが、多くは実態がなく、集めた金を別の投資家への償還に充てる自転車操業だった疑いがある。
県警は10月1日にも、室崎容疑者を詐欺容疑で再逮捕する方針。再逮捕容疑は昨年、東京都の税理士の男性に、クラシックカーの仕入れとレストア費用として投資すれば6~7%を上乗せしてバックするなどと言い、計約1億4千万円を詐取したというもの。
9月10日にも兵庫県内の男性から同様の手口で計3億9950万円をだまし取った詐欺の疑いで逮捕されていた。調べに「金を返そうとは思っていた。ただ、車は仕入れていない」と供述しているという。(宮坂奈津、小田健司)
朝日新聞社より転用
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