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繰り上げで「銅」のマラソン道下美里「神様が見てくれていたのかな」…努力と粘りが呼び込んだ幸運


 【パリ=読売取材団】パリ・パラリンピックは大会最終日の8日、陸上女子マラソン(視覚障害T12)が行われ、道下美里(47)(三井住友海上)が銅メダルを獲得した。3時間4分23秒の4着でゴールしたが、3着だった選手が失格となり、道下の順位が一つ繰り上がった。道下は2016年リオデジャネイロ大会の銀、21年東京大会の金に続いて3大会連続のメダル獲得となった。

視覚障害者泣かせだった難コース

 「レースは何があるか分からない。最後まで一つでも前に、一つでも前にということはレース中から思っていた」と道下。3着のスペイン選手の失格で、4着だった自分にパラリンピック通算3個目となる銅メダルがもたらされた。

 序盤からモロッコ勢がリードする展開。道下はすぐ前を3位で行くスペイン選手をターゲットにしたが、パリ特有のコースに苦しんだ。石畳が多くて細かなアップダウンもある上、車の速度を抑えるために路面にもうけられた「ハンプ」と呼ばれる突起物や段差に足をとられそうになる場面があった。体への負担も少なくなかった。視覚障害者泣かせのコースで、別のレースでは転倒者も出たという。

 ガイドランナーと息のあった走りを見せたが、少しずつ差をつけられた。順位の繰り上がりは、スペイン選手とガイドランナーにゴール直前にルール違反があったことが理由だが、「練習で協力してくれる仲間のために」との思いで、最後まであきらめなかった道下の走りが幸運を呼び込んだ。陸上女子マラソンで銅メダルを獲得した道下美里(左)(8日、パリで)=古厩正樹撮影

陸上女子マラソンで銅メダルを獲得した道下美里(左)(8日、パリで)=古厩正樹撮影

30歳代からマラソンに転向

 道下は山口県下関市出身。角膜の病気の影響で、中学2年の時に右目の視力を失い、20歳代で左目の視力も低下した。03年に入学した山口県立盲学校(現・山口県立下関南総合支援学校)で陸上競技に取り組み始め、マラソンに転向したのは30歳代になってからだった。

 「いろんなことを乗り越えてきた。それを神様が見てくれていたのかな。ご褒美ですね」と笑った道下。リオデジャネイロの銀、東京の金とは輝きは違うが、3年間の努力がしっかりと形となって素直にうれしかった。(畔川吉永)

読売新聞 より転用


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