ミャンマーの少数民族ロヒンギャ、ドローン攻撃で200人死亡か
- 国際
- 2024年8月14日
(CNN) 内戦が続くミャンマーの西部ラカイン州で先週、戦闘から逃れようとする少数民族ロヒンギャの集団がドローン(無人機)攻撃を受け、多数の死者が出たことが分かった。
CNNが位置情報を確認したSNS上の動画には、バングラデシュ国境を流れるナフ川の岸に数十人の遺体が散乱した場面が映っている。
同州マウンドーの西の端に位置する川岸の町で撮影された動画の中では、男性が血痕の残る泥道を歩きながらすすり泣いている。砂や草の上、水たまりなどに男女、子どもらの遺体が横たわり、近くで衣類や家財が一部水につかっている。
目撃者や活動家らがCNNに語ったところによると、ドローン攻撃があったのは5日。ロヒンギャの家族らは川を渡ってバングラデシュ側へ逃げようと、川岸で待機していた。
未確認情報によると、死者は約200人に上った。2021年の軍事クーデター以降続く内戦で民間人が受けた攻撃のなかでも、最大規模の死者数とみられる。
目撃者らはCNNに、国軍と敵対する少数民族の武装勢力「アラカン軍(AA)」による攻撃との見方を示した。マウンドー周辺では数週間前からAAと国軍の戦闘が激化している。
AAは「死者が出たのはわれわれの支配する地域ではない」とする声明を出し、関与を否定した。マウンドー付近で国軍を攻撃し、住民には6月から避難を呼び掛けてきたことを認めたうえで、ロヒンギャ避難民を殺害しているのは国軍側だと主張した。
これに対して国軍は国営メディアを通し、「AAのテロリスト」がラカイン州の町や村を重火器とドローンで攻撃したり、村人たちを拷問したりしていると非難した。
ミャンマーでは軍政による通信、立ち入り制限のため、国内の動向を外部から正確に把握することはほぼ不可能だ。
現地の活動家やメディアによると、ナフ川沿いの村では5日以降も攻撃が続き、AAによる住民殺害、性暴力、民家への放火、強制的な徴兵が横行しているという。
米航空宇宙局(NASA)の遠隔探査データは、マウンドーの中心街で6日未明に火災が起きたことを示している。衛星画像でもマウンドーのロヒンギャ居住地区に火災の跡がみられる。
国際医療組織「国境なき医師団(MSF)」は9日、ロヒンギャ難民キャンプのあるバングラデシュ側のコックスバザールで、ミャンマー側から川を渡ったロヒンギャ39人が迫撃砲や銃撃などで負ったけがを、MSFのチームが手当てしたと発表した。負傷者は4割以上が女性や子どもで、船に乗ろうとする人々が攻撃されるのを見たなどと話したという。
国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」は最新の報告書で、ミャンマー国軍とAAの双方がこの数カ月、ラカイン州でロヒンギャなどの民間人に対する超法規的殺人や放火を繰り返し、「民族浄化」への懸念が強まっていると指摘した。
CNN.co.jpより転用
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