「イスラム教徒が女児3人殺害」デマに、英国で流血デモ1週間
- 国際
- 2024年8月6日
英国で極右勢力のイスラム教徒を対象にした暴力デモが激化している。先週、英国で女児3人が刃物襲撃事件で死亡したことに関連し、「犯人は『イスラム教徒の亡命申請者』」というデマが広まったからだ。発足から1カ月でリーダーシップが試されることになった労働党政権は「暴徒を後悔させる」として強硬対応を予告した状態だ。
4日(現地時間)のガーディアンなどによると、難民収容施設として知られるサウスヨークシャー州ロザラムのホテルに約700人のデモ隊が乱入する騒動が起きた。これを防ぐ過程で警察1人が頭を負傷して意識を失うなど計10人の警察が負傷した。
スターマー英首相はこの日、国民向けの演説で「ロザラムにあるホテルをデモ隊が攻撃した」とし「これはデモでなく組織的な激しい暴力行為」と批判した。スターマー首相は、「デモ参加者はすべて極右か」という質問に対し「肌の色や信仰を理由に人々を標的にすればそれは極右」とし「我々はイスラム教徒の共同体が標的になり、モスク(イスラム寺院)と警察が攻撃されるのを見た」と答えた。
続いて「今回の事態に加担したりオンライン上で(暴力を)助長した後に逃げたすべての人たちは後悔することになるだろう」と警告した。また「極右暴力団(Thugs)を法の審判台に立たせる」とも話した。ニューヨークタイムズ(NYT)によると、スターマー首相は今週、休暇計画を取り消して官邸に残り、追加の対応について議論することにした。
クーパー内相もX(旧ツイッター)に「法的無秩序と暴力行為にかかわったすべての人は代価を払うことになるだろう」と強硬対応を宣言した。
◆「13年ぶり最悪の暴力デモ」
今回のデモは13年ぶりに英国で発生した最悪の暴力事態だ。この日現在、暴力デモ関与で逮捕されたのは147人。
先月30日から本格化したデモの余波で警察署・図書館などが放火で焼けたり毀損されたりし、イスラム寺院も攻撃を受けた。こうした中、先週、英国でイスラム教徒に対する強姦・殺害脅迫が5倍、憎悪犯罪事件が3倍に増えたことが調査で分かった。
事態が拡大すると、イスラム国家のマレーシアはこの日の声明で「英国に居住または旅行中のマレーシア人はデモ地域に接近してはいけない」とし「警戒を緩めずに現地の指針に従ってほしい」と勧告した。
◆英国生まれだが「亡命申請者」デマ
今回のデモは先月29日にリバプール近隣サウスポートの児童ダンス教室に侵入した犯人が刃物で襲撃し、6歳、7歳、9歳の女児3人が死亡、成人や子ども11人が負傷した事件をきっかけに起きた。事件直後に警察に逮捕された17歳の容疑者は「イスラム教徒亡命申請者」「シリアから来た不法滞在者」というデマがSNSを通じて広がり、反イスラム・反移民性向の極右派が立ち上がったのだ。
特に現地では極右団体のイングランド防衛同盟(EDL)の共同設立者トミー・ロビンソン氏のSNSがデモを招いたとみている。ロビンソン氏は襲撃事件の後、SNSに「なぜ政府は罪のない子どもを刺すようにこのシリア人を入れたのか」とし「国境を閉鎖してすべての犯罪者を追放するべきだ」と投稿した。その後、極右デモ隊の間では「わが国を取り戻したい」というスローガンまでが登場した。
デマが広がると、裁判所は「未成年容疑者の名前は非公開」という原則を破り、異例にも身元を公開した。裁判所の発表によると、容疑者はカーディフ(ウェールズ首都)生まれの17歳の男性アクセル・ルダクバナで、キリスト教徒が多数のルワンダ出身の父母を持つ英国人だ。ただ、ルダクバナがどんな宗教であるかは公開しなかった。
裁判所のこうした発表にもかかわらずデモは続いた。フィナンシャルタイムズ(FT)は「刃物襲撃事件に対する大衆の恐怖を利用して地域社会の緊張を高め、移民に対する怒りを助長したことでイスラム嫌悪が広まった」と伝えた。
今回のデモは極右性向のリフォームUKの政治的躍進とも無関係でないという分析もある。リフォームUKはブレグジット(英国の欧州連合脱退)と反移民政策を主張し、支持勢力を拡大してきた。
先月4日の総選挙で労働党が勝利したが、リフォームUKは労働党(33.8%)、保守党(23.7%)に続いて得票率(14.3%)が3番目に高かった。初めて議席(5議席)を確保し、「英国のトランプ」と呼ばれるナイジェル・ファラージ・リフォームUK代表も8回目の挑戦でようやく下院議員になった。ガーディアンは「執権労働党の内部ではファラージ代表の反移民的な発言が主流政治のレトリックに含まれないか懸念している」と伝えた。
中央日報日本語版より転用
コメントする