声かけても仮眠から起きず部下がタダ働き…にも関わらず深夜手当を申請 400万円弱を不正受給の消防司令を停職処分
静岡市消防局は7月19日、消防司令の男性職員について6年半にわたって深夜手当など計388万5047円を不正に受給したとして、停職6カ月とする懲戒処分を行った。男性職員は部下が声を掛けても仮眠から起きず、深夜勤務を放棄していたという。
不正受給額は388万円あまり
停職6カ月の懲戒処分となったのは消防司令の男性職員(50代)で、静岡市内にある消防出張所で所長や副所長を務めていた2017年4月1日から2023年9月20日までの間、24時間(午前8時30分~翌朝8時30分)の隔日勤務において、深夜勤務を放棄していたにも関わらず虚偽の申請をして深夜手当など計388万5047円を不正に受給した。
“内部告発”で不正発覚
不正な受給は2023年9月、庁内のイントラネットに男性職員を名指しした上で「深夜勤務をまったくやっていないのに深夜手当をもらっている」という内容の投稿があったことから、静岡市消防局が過去10年に遡って調査をしたことで発覚。男性職員は本来、756回深夜勤務に従事すべきところ、このうち298回(602時間分)について勤務を放棄していたことがわかっている。
静岡市消防局によると、男性職員が勤務していた出張所では部下が男性職員に声を掛けても仮眠から起きてこないことが続いたため、別の職員が深夜勤務を代替することが常態化。聞き取りを受けた職員からは「威圧的な言動やパワハラはなかったものの、出張所の責任者であり忖度があった」との回答があり、男性職員も「部下が気を使ってくれた」と釈明しているという。
以前にも“内部告発” しかし…
一方、男性職員の不正受給をめぐっては、2018年の段階で別の職員から「深夜勤務を行っていない」との話があったことから当時の消防署長が男性職員との面談を実施。
しかし、男性職員が「適正に実施していた」と答えたため、それ以上の追及に至らず、事実がうやむやなまま消防本部などへの報告もされなかった。
静岡市職員の懲戒処分に関わる指針では、虚偽の申請により給料を不正に受給した職員は減給または戒告とすると規定しているが、静岡市消防局は今回の不正が長期間にわたって行われていたことや管理職ではないものの職員を監督する立場にあったことを鑑みて、「規定より重い停職処分に相当すると判断した」と説明している。
忖度で勤務を代わりに行った部下に追給なし
ただ、深夜勤務を代替してくれていた職員については「どの職員が、どの程度(男性職員に代わって)勤務したのか正確に把握することはできない。勤務日誌や時間外勤務の実施記録から他の職員が勤務していた実態を正確に把握することはできない」との理由から、追給が支払われることはないそうだ。
男性職員は不正を認めた上で、すでに全額を返納していて、今後についても停職処分が明ければ勤務を続ける意向を示しているという。
池田悦章 消防局長は、会見で「消防行政に対する市民の信頼と信用を損なうものであり重く受け止めている。本件は単に本人の不適正行為によるものだけでなく、組織づくりに問題があったものと認識していて、大いに反省している」と述べている。
(テレビ静岡)
FNNプライムオンラインより転用
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