新小結・大の里の不利な体勢でも前に出る相撲に水戸泉を彷彿…元大関・琴風の目
- スポーツ
- 2024年5月17日
◆大相撲 ▽夏場所5日目(16日、東京・両国国技館)
新小結・大の里は初顔合わせの大関・霧島を破った。右を差して寄ると、両者の体が土俵外へ飛んだ。物言いがつき長めの協議の末、大の里に上がった軍配通りとなり3連勝を飾った。カド番の霧島は3連敗で痛恨の4敗目。
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大の里が霧島を寄り倒した最大の要因は動きを止めなかったことだ。立ち合いは霧島の狙い通り。左の前まわしを取って頭を付けた。右半身になった大の里は相手十分でも左からおっつけながら定石通りに右の差し手の方に圧力をかけていった。不利な体勢でも愚直に前に出る相撲はかつての水戸泉さん(錦戸親方)を彷彿(ほうふつ)とさせた。
二所ノ関部屋付きの中村親方(元関脇・嘉風)がトークショーで「今年の九州で大関、来年の今頃は横綱」と言ったとか。若い力士は息を吸っただけでも成長すると言われている。可能性は確かにあるだろう。しかし、番付上位にも意地がある。大の里という“爆走列車”を指をくわえて通過させるわけにはいかない。新旧のぶつかり合いも大相撲の醍醐(だいご)味なのだ。もし大の里がその壁を簡単に越えた時には強い大関、強い横綱が誕生すると断言できる。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)
スポーツ報知/報知新聞社より転用

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