世界自然遺産取り消しを危惧、運動団体が斜里町長へ要請書を提出
- 政治・経済
- 2024年5月17日
しれとこ100平方メートル運動の北海道、関東、関西の各推進支部は16日、知床岬で進む携帯基地局整備への反対表明と計画の再検討を関係機関に求める要請書を、同運動推進本部長の山内浩彰・斜里町長に連名で提出した。
3支部は、斜里町が知床国立公園内で進める同運動への参加者たちの集まりで、それぞれの地域で運動を支援するために活動している。
要請書では知床岬で計画されている基地局の電源となる太陽光パネル設備の敷地が約7千平方メートル、ケーブル類の埋設も約2キロに及ぶ点を指摘し、環境省が「大規模な新規工事には該当しない」とする認識に疑問を呈した。
工事が実施されると、営巣するオジロワシや貴重な植生などへ影響が及ぶ可能性が高く、「原生的な景観・秘境感を根底からくつがえすことになる」と世界自然遺産の取り消しを危惧。「岬周辺でのライブ配信やSNS利用に緊急性はない。むしろ秘境の醍醐(だいご)味が味わえる貴重な場所として認識される」とした。
今回の要請を主導した関西支部の小田忠文代表は、この運動の本部長である斜里町長に申し入れをしたことについて、「設置する理屈がみんなに周知されないまま行われているので、代替手段も含めて公開の場で議論するべきだ。(町長に対して)『がんばれよ』『ぼーっとするなよ』『全国に応援団がいるぞ』という思いだ」と説明している。(奈良山雅俊、松尾一郎)
しれとこ100平方メートル運動 乱開発の危機にあった知床国立公園内の開拓跡地を保全するため、北海道斜里町が1977年、「知床で夢を買いませんか」のキャッチフレーズで全国に支援を求めたナショナルトラスト運動が始まり。5億円を超す寄付が集まり、2010年に土地の購入を完了。1997年からは「100平方メートル運動の森・トラスト」へと発展し、原生の森と生態系の再生をめざす活動を続けている。運動開始以来の参加(寄付)者は4月末現在、延べ7万2千人を超えた。
朝日新聞社より転用
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