「外国が気象、生物データを違法に窃取」 中国国家安全省が警戒感
- 国際
- 2024年5月14日
中国でスパイ摘発を担う国家安全省は13日、通信アプリ「微信(ウィーチャット)」の公式アカウントに、海外の非政府組織(NGO)や財団が研究名目で中国の自然保護区の地理や気象、生物に関するデータを違法に収集・窃取しているとする文書を投稿し、警戒感を示した。
中国では「国家安全」を重視する習近平指導部の方針の下、外国人への締め付けが強化されているが、自然科学の分野でもこの論理が適用されたことで、各国と中国の学術交流はさらに萎縮することになりそうだ。
投稿では「生態系の安全は国家安全の重要な要素だ」と強調。教授を名乗る外国人が学術交流を持ちかけ、国内の自然保護区の湿地や山林に観測機器を設置して、データを不正収集した▽外国の大学がNGOの支援を受けて、中国・南西部の自然保護区で中国側と「共同プロジェクト」を実施したが、背後では西側の政府が関わっていた――といった事例も提示し「我が国の政体の安全に重大な危害を与えた」と述べた。
そのうえで「生態資源のデータの安全を守るのは、全ての国民の義務であり責任だ」と主張し、国民に対して通報するよう求めた。
中国は2023年7月、スパイ行為の定義を拡大する改正反スパイ法を施行したが、定義の範囲があいまいなため、恣意(しい)的な運用を不安視する声が上がっている。
学術分野でも、日本から一時帰国した中国人研究者が治安当局に拘束されたとみられる事案が相次いでおり、懸念する声が強まっている。【北京・岡崎英遠】
毎日新聞より転用
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