【ボクシング】井上尚弥がネリを6回TKO撃破、日本人初4団体統一王者として防衛成功
- スポーツ
- 2024年5月7日
<プロボクシング:4団体統一スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦>◇6日◇東京ドーム
4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31=大橋)が防衛(WBAスーパー、IBF初、WBC、WBO2度目)に成功した。元世界2階級制覇王者のWBC世界同級1位ルイス・ネリ(29=メキシコ)の挑戦を受け、6回TKO勝利。日本人初となる4団体統一王者としての防衛を成し遂げた。
試合後、リング上で「ここ東京ドームで34年ぶりの日本人メイベント。自分自身すごくプレッシャーがあったんですけど、こうして皆さんの力が僕のパワーになりました。本当にありがとうございました」と述べた。
1回に喫したまさかのキャリア初ダウンについても「皆さん、1ラウンド目のサプライズ、たまにはいかがでしょうか」と余裕たっぷりに振り返った。
ただ、真剣な表情となりダウンの際に笑みをみせたシーンには「やっぱりボクサーということで、そういうシーンというのは自分自身燃え上がるところがあるので、非常にハイテンションで試合をしてました。日本、東京ドームでルイス・ネリと試合できたことにほんとに感謝いたします。ありがとうございます」と振り返った。
90年2月の元統一ヘビー級王者マイク・タイソン-ジェームス・ダグラス(ともに米国)戦以来、約34年ぶりとなる東京ドームでのボクシング興行で、日本人初のメインイベンターを務めた。今や世界ボクシング界から注目される井上が、所属ジム設立30年、自身の世界王座獲得(WBC世界ライトフライ級王座)から10年という節目で迎えた大一番を勝利で飾った。
井上は「自分が初めて世界王者になって10年。東京ドームで試合ができるのは何かの縁だと思う。ジム設立30年に東京ドームで試合できることも感慨深い。必ず成功させなければいけないという思いは、いつも以上に感じる。自分自身に期待したい」と胸を躍らせ、東京ドームのリングに立っていた。
挑戦者は、17年8月と18年3月の2度、元WBC世界バンタム級王者山中慎介と対戦したネリだった。山中との2戦ではドーピング違反と体重超過で騒がせ「悪童」と言われていた。今回はWBC規定の事前計量(1カ月前、14日前、7日前)をクリアし、前日計量もリミット(55・3キロ)よりも500グラム少ないウエートで1発クリア。井上戦決定後も5カ月間かけて母国メキシコではなく、米テキサス州エルパソで調整。5、6度のドーピング検査を受け、過去にない「リアル」ネリとして来日してきた。
2度目の山中-ネリ戦は会場で視察していた井上だったが、冷静そのもの。「今回の戦いは自分対ネリ。過去の因縁を持ち込まないように戦う」と集中力を研ぎ澄ませた。4日の公式会見でネリと握手したかと思えば、5日の前日計量では20秒間、至近距離によるフェースオフ(にらみ合い)で火花を散らした。「もう駆け引きは始まっている」と戦闘モードに入っていた。
興行をプロモートした所属ジムの大橋秀行会長(59)は「今回の東京ドームは新たなスタート。またドームで興行開催する可能性はある。私の頭の中には、いろいろな選択肢、構想がある」と言葉に力を込めた。今夜の東京ドームでの防衛成功は、井上の新たな伝説の始まりといえるファイトとなった。
◆ラウンドVTR
1回 開始18秒に井上尚が豪快な右フックで会場沸く。ネリも遠くから一気に踏み込んでのワンツーを振るう。1分49秒過ぎにネリの左フックがカウンターでさく裂し、井上尚がプロ初ダウンを喫する。立ち上がり防戦となるが、踏ん張って初回を終了した。日刊採点は井上尚弥8-10ネリ
2回 井上尚がジャブを突いて試合を作り直していく。足を止めて探り合うように拳を交錯させていく。井上尚がボディーを決めるなど徐々にペースをつかんだ2分過ぎに、ネリが飛び込んできた所に左を合わせてダウン奪取。劣勢から一気に盛り返した。日刊採点は井上尚弥10-8ネリ
3回 井上尚は相手のジャブをさばきながら、要所で強打の右を振っていく。ネリが転ぶ場面もあったがスリップの判定。不用意に飛び込んでのダウンの影響か、ネリは慎重さを感じさせる。残り30秒を切ってから井上尚のワンツーが大きな音を響かせた。日刊採点は井上尚弥10-9ネリ
4回 井上尚がワンツーを軸に組み立てる。1分20秒過ぎに顔面をかすめるパンチを受けると、グローブで顔をなでるしぐさから強烈な右ストレートを放った。ネリの大振りの左を見切るようにステップを切りながら、3分間を終えた。日刊採点は井上尚弥10-9ネリ
4回 井上尚がワンツーを軸に組み立てる。1分20秒過ぎに顔面をかすめるパンチを受けると、グローブで顔をなでるしぐさから強烈な右ストレートを放った。ネリの大振りの左を見切るようにステップを切りながら、3分間を終えた。日刊採点は井上尚弥10-9ネリ
6回 井上尚が前にでる展開が続く。ネリは防戦一方になり、後退が目立つようになる。2分過ぎに連打で押し込むと、最後はカウンターで右一閃(いっせん)。6回TKO勝利を飾った。日刊採点は井上尚弥10-8ネリ
日刊スポーツより転用
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