スペイン混迷、首相が「辞任検討」 妻の利益誘導疑惑で捜査始まる
- 国際
- 2024年4月29日
スペイン政界が混迷の度を深めている。スペイン紙エルパイスなどによると、サンチェス首相は24日、利益誘導疑惑などで自身の妻に対する捜査が始まったことを受け、辞任を検討していると表明した。29日にも結論を出すという。
スペインでは昨年7月の総選挙で左右両陣営とも過半数を取れず、穏健左派・社会労働党を率いるサンチェス氏が小政党の支持を得てかろうじて政権を樹立した経緯がある。仮にサンチェス氏が辞任した場合、議会での新首相選出は難航が予想され、依然として不安定な政治状況が続くとみられる。
新首相が決まらない場合、サンチェス氏が解散総選挙に打って出る可能性も指摘されている。このほか、辞任せずに自身の「信任投票」に持ち込むシナリオも取り沙汰されている。
疑惑が持たれているのは、サンチェス氏の妻のベゴニャ・ゴメス氏。司法当局は詳細を明らかにしていないが、報道によると、ゴメス氏は首相夫人の立場を利用し、公的機関から自身のビジネスに便宜を図ってもらった利益誘導などの疑いがあるという。サンチェス氏と敵対する極右系団体がゴメス氏を告発し、スペインの裁判所が24日に予備的な捜査の開始を発表した。
サンチェス氏はX(ツイッター)で「妻は無実」と主張し、告発は極右による政治的攻撃だと訴えた。一方で、この状況で「首相続投に価値があるのか」とも述べ、辞任を検討していることも明らかにした。
スペインでは昨年7月の総選挙でどの陣営も過半数に届かず、まず第1党となった中道右派・国民党のフェイホー党首が政権樹立を試みたが、失敗に終わった。その後、第2党の社会労働党が北東部カタルーニャ自治州の独立を訴える小政党などの支持を積み上げ、過半数を確保。サンチェス氏が同11月に第3次内閣を発足させた。
だが独立派と連携したサンチェス氏に対し、右派陣営は「国家を分裂させる動きだ」と批判を強め、国内各地では首相退陣を求めるデモが頻発している。一方、サンチェス氏を支持する左派系勢力も27日、首都マドリードで首相続投を求めるデモを実施した。
毎日新聞より転用
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