詐欺被害の女性、警察に相談したら「事件にならないと言われ絶望」…県公安委が県警を指導「適切さ欠ける対応」
鹿児島県内の50歳代女性から現金をだまし取ったとして、詐欺罪で起訴された無職男(56)の事件を巡り、女性の被害相談を受けた鹿児島南署が「詐欺との判断は困難」と処理し、県公安委員会が「同署の対応は適切さに欠ける」として県警を指導していたことが分かった。
男は住居不定、無職の被告。女性によると、女性は2022年6月に3回、男からの被害を同署に相談。被害届を出したいとの意向を示したが、対応した署員からは「債務不履行になる」などと説明され、被害届の受理に至らなかったという。
そのため、女性は県内の別の署に被害届を提出し、昨年1月に受理された。昨年8月、県公安委に鹿児島南署の対応について苦情を申し立てていた。
女性の元に届いた今年3月7日付の県公安委の通知によると、同署の対応について、「具体的な被害相談にもかかわらず一般的な相談対応にとどめ、内容を記録化する際に正確性を欠き、組織的な検討が不十分だった」と指摘。一連の対応は適切さに欠けるもので、県警を指導したとしている。
男については、女性の被害届を受理した署が今年3月、銀行員になりすまして女性から200万円をだまし取ったとして、詐欺容疑で逮捕。鹿児島地検は今月1日、詐欺罪で起訴した。
女性は読売新聞の取材に対し、「助けてほしいとの一心で相談したが、話を親身になって聞いてもらえなかったうえ、『事件にならない』と言われた時は絶望した。被害者の立場に寄り添って対応してほしい」と訴えた。
県警は「個別の事案については答えられない」としている。
読売新聞より転用
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