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税金2億円超の支出…!巨額不正受給「学童保育施設の委託業者と騙された自治体」“まさか”の言い分


「両法人合わせて2億円を超える事業費の不正受給は前代未聞です。税金を不正に支出する形となった自治体の責任も小さくありません」(学童保育施設関係者)

共稼ぎ世帯の子供を放課後などに預かる公立の学童保育施設(学童クラブ)の業務を委託された団体が、架空の勤務実態を報告することで多額の委託費を不正に受給していた事件が立て続けに起きた。 「『ワーカーズコープ・センター事業団』(以下、ワーカーズ)と『上智社会事業団』が問題となった団体です。両団体とも自治体から委託を受けた施設で職員の数を実際より多く報告し、委託費を不正に受け取っていたのです。その額はワーカーズが新宿区から約1億9500万円、荒川区から328万円。上智社会事業団は荒川区から2100万円に上ります」(全国紙社会部記者)

ワーカーズは全国約400ヵ所の子育て支援施設を受託する業界大手。一方の上智社会事業団は上智大学の教授が生活困窮家庭の救済事業をするために始めた組織で、こちらも公立学童保育施設の受託事業に力を入れている。

他の自治体でも不適切報告38件

ワーカーズは新宿区が運営する10ヵ所の学童クラブと3ヵ所の児童館の業務を受託。昨年6月、ワーカーズが人員配置を虚偽報告しているとの匿名の情報提供があり区が調べたところ、’18年度から’23年度までに契約で交わした人員配置を満たしていなかった時間が全施設合計で8万9000時間に上ることが判明。区は2月末、ワーカーズが不正受給した人件費に調査費用を加えた約1億9800万円の返還を求めた。

さらに他の自治体から受託した施設でも不適切報告が38件行われていたことが分かり、関係する自治体との間で不正受給した委託費の返還を含めた協議をしているところだ。

上智社会事業団の場合、荒川区が業務委託する6事業者を調査したところ、’18年度から’23年度までワーカーズと同様に実際の職員数よりも多い虚偽報告をすることで2296万円ほどの委託費を不正に受給したことが明らかに。区は2月に調査報告書を公表し、上智社会事業団に違約金を加えた2900万円余りの返還を請求している。

虚偽の報告をしたのは、人手が足りず決められた人員配置ができなくなったことを隠すためだったといわれる。職員数を多く偽っての報告は組織ぐるみで行われ、ワーカーズのケースでは、現場責任者だけでなくエリアマネージャーや所長も不正を認識していたことが分かっている。

委託事業者に騙される形で、多額の税金を不正支出することになった新宿区と荒川区の担当者はこう話す。

「子供たちが関係する事業や施設で不正があったことは残念。施設へは月に1度巡回していたが、そのときは適正な職員配置だったため見抜けなかった。不正が行われないよう、巡回当日以外の日に適正な配置をしているか確認する方法も導入するべきだった」(新宿区)

「施設ごとに業務日誌を通じて職員配置の報告を受けていたが、事業者がまさか嘘をついているとは思わなかった。区として実態をきちんと管理しなかった責任を感じている」(荒川区)

不正受給をしたワーカーズはこう回答した。

「区に偽りの報告をしたのは人員不足、自治体とのコミュニケーション不足、コンプライアンスの意識の低さ、現場の管理体制の不備が原因でした。改めて社会的責任の大きさを痛感しています。不正受給した1億9000万円については新宿区へすでに返還し、他に返還を求められている自治体には誠意をもって対応します」

「重く受け止めています」

一方の上智社会事業団は理事長名でこうお詫び文を発表している。

「事態を重く受け止めています。法人全体として管理監督体制を見直し、コンプライアンスの徹底に努め、このような問題を二度と引き起こすことのないよう全力で取り組みます」

学童保育施設は全国に約2万5000施設あり、その半分近くは自治体が運営主体になって民間に業務を委託する「公立民営」だ。今回、発覚した不正事例は氷山の一角に過ぎないと話すのは、学童保育の組織運営に関してコンサルティングを行う「あい和学童クラブ運営法人」の萩原和也代表だ。

 「学童保育施設を受託する法人の中には、低賃金で高齢者を雇うことで多くの利益を確保しようとするところも少なくありません。そうした事業者はコンプライアンスの遵守意識も低く、発覚しないだけで今回同様の事例が全国にあると思われます。善良な事業者の評判を落とさないためにも、きちんとした運営が必要です」

委託者の自治体も事業者がごまかしのできない仕組みを作り、税金の不正使途に歯止めをかける必要があるだろう。

取材・文:形山昌由(ジャーナリスト)

FRIDAYデジタルより転用


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