トランプ氏、迷走する刑事裁判 初公判延期や検事辞任 大統領返り咲きなら帳消しも・米
- 国際
- 2024年3月22日
11月の米大統領選で返り咲きを目指すトランプ前大統領(77)は、2023年8月までに四つの刑事事件で起訴されている。
選挙への影響を避けたいトランプ氏側の遅延戦術が奏功し、21日時点でいずれも初公判の期日は未確定のまま。検察側の恋愛沙汰で公判手続きが停止する例もあり、迷走ぶりが目立つ。
◇「あらゆる手段」で対抗
昨年8月、トランプ氏と元側近らは南部ジョージア州で、20年大統領選でバイデン大統領に僅差で敗れた同州の票集計に干渉したとして起訴された。検察側は事件を「組織犯罪」と非難した。
しかしその後、捜査を指揮した同州フルトン郡の女性検事が、担当検察官と交際していることが発覚。トランプ氏側が「不正」を訴えて公判手続きは停止状態に陥った。
同郡の裁判所は今月15日、「担当検察官が辞めれば、起訴は維持できる」との判決を下した。検察官は辞任したものの、トランプ氏側は「あらゆる法的手段を用いる」として18日、女性検事の解任などを求め上訴した。
◇原爆投下引き合い
四つの刑事裁判で最も深刻なのは、トランプ氏の退任直前の21年1月に起きた連邦議会襲撃事件など、20年大統領選の結果を覆そうとした罪だ。トランプ氏はこの事件で、大統領在任中の行為には刑事責任を問われない「免責特権」があると主張。遊説で、第2次大戦で当時のトルーマン大統領に「特権」がなければ「広島と長崎に(原爆を投下)しなかっただろう」とする持論を展開している。
免責特権の要求は一審と二審で却下されたものの、最高裁に上訴。この影響で、3月4日に予定されていた初公判は無期延期された。最高裁は6月下旬ごろに判決を下す見通しだ。
◇有罪なら投票せず
残り二つの裁判は、不倫相手だったポルノ女優への口止め料支払いを巡る帳簿改ざんと、政府の機密文書不正持ち出しだ。トランプ氏側の不服申し立てを受け、どちらも初公判の見通しは立っていない。
大統領経験者が「刑事被告人」として法廷に立てば、米史上初めてとなる。世論調査によると、トランプ氏が有罪判決を受けた場合、同氏に投票しないとする支持者は少なくない。一方、大統領に返り咲けば、起訴の取り下げや自らへの「恩赦」で帳消しになる可能性もある。
四つの訴訟を巡る裁判所の判断次第で、トランプ氏は遊説日程調整など選挙運動を制約されかねない。米メディアによると、これまでの訴訟費用は5000万ドル(約75億円)を超え、資金面でも重荷になっている。
時事通信より転用
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