陸自訓練場計画、反対集会に1200人 防衛相に断念要求 沖縄
- 政治・経済
- 2024年3月21日
沖縄県うるま市のゴルフ場跡地に陸上自衛隊の訓練場を建設する防衛省の計画に反対する集会が20日、同市の市民会館で開かれた。県議や市議、自治会関係者らの主催で、主催者発表で約1200人が参加。「住民の視点を完全に欠落させた、ずさんな計画だ」として木原稔防衛相に計画断念を求める決議を採択した。
保守系市長「反対伝える」
集会では、住民代表としてパート従業員の冨着(ふちゃく)志穂さん(48)が「なぜ閑静な住宅街に造るのか」と訴えた。跡地近くには米国統治下の1959年に米軍機が墜落し、児童ら17人が死亡した市立宮森小がある。冨着さんが「宮森小の悲劇を決して忘れてはいけない」と声を振り絞ると、超満員の会場から拍手が湧いた。
当初は賛否を明言していなかった保守系の中村正人市長も、反対運動の盛り上がりを受けて参加。「(政府に)粘り強く反対の意思を伝える」と声を張り上げた。玉城デニー知事も集会の趣旨に賛同するメッセージを寄せた。
集会に参加した元小学教諭、名嘉正勇(なか・せいゆう)さん(69)=同県南風原(はえばる)町=は「沖縄は米軍基地の返還が進まないのに、防衛力強化の名目で軍事要塞(ようさい)化が進んでいる。ここで声を上げなければ、住民のことを考えない防衛計画が他でも繰り返される」と語った。
防衛省は2024年度予算案にゴルフ場跡地の用地取得費を計上。那覇市を拠点とする陸自第15旅団の「師団」への増強で訓練の増加が見込まれるとして、26年度に新たな訓練場の建設に着手する計画を立てた。
しかし、跡地が住宅街や自然体験学習施設に近接しているため、反対運動が拡大。県議会は白紙撤回を、市議会は断念を求める意見書をいずれも全会一致で可決した。防衛省側は「取得後の土地の在り方を検討している」として、現時点で白紙撤回を否定している。【比嘉洋】
毎日新聞 より転用
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