「取引重視」のトランプ流外交、再来が現実味…「私ほど中国に対抗し数千億ドルの利益もたらした大統領いない」
- 国際
- 2024年3月9日
■[トランプ劇場2024]<上>
11月の米大統領選で、ドナルド・トランプ前大統領(77)が共和党の指名候補となる。米国内外を振り回す劇場型政治が再来するのか。民主党のジョー・バイデン大統領(81)との再戦で争点となる外交などの主張を探る。
◇ 「私ほど中国に対抗し、数千億ドルの利益を米国にもたらした大統領はいない」
2月10日、サウスカロライナ州での選挙集会。トランプ氏は、満員の聴衆にこう誇った。「米国第一」を掲げた1期目(2017~21年)は中国に貿易戦争を仕掛け、制裁関税で揺さぶり、さらなる農産物購入をのませた。当時を振り返り、「尊敬すべき習近平(シージンピン)国家主席から電話がかかってきた」と自慢げに語った。
トランプ流外交は、ビジネスで培った損得勘定による「ディール」(取引)を重視する。民主主義国との同盟・友好関係に重きを置かず、習氏やロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記ら権威主義的な指導者との直接取引を好む。その再来が、現実味を帯びている。
対中強硬策はトランプ前政権の看板政策だが、貿易交渉を優先し、「台湾が取引材料にされる」との臆測は絶えない。
「もし中国が台湾に軍事侵攻したら、米国は立ち上がるのか」。昨年7月、トランプ氏はFOXニュースのインタビューでこう質問され、「言いたくない。交渉で不利になる」と言葉を濁すと、こう言い放った。「言っておくが、台湾は我々の半導体事業を奪ったんだ」
読売新聞より転用
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