政倫審、攻め手欠いた野党 森氏招致要求も立ちはだかる「数の論理」
- 倒産・裁判
- 2024年3月2日
1日の衆院政治倫理審査会で清和政策研究会(安倍派)幹部たちが裏金事件の経緯や詳細を明らかにしなかったことに対し、野党は一斉に反発。現役議員たちではらちが明かないとみて、同派の元会長で派内への影響力を維持する森喜朗元首相の国会招致を求める声も上がった。しかし与党に応じる考えはなく、攻めあぐねているのが実情だ。
「とにかく説明に後ろ向き。自らの真相究明について後ろ向き。帳簿も見たことがないだとか、およそ信じがたい返答が続いている」。立憲民主党の泉健太代表は1日の記者会見で怒りをあらわにした。
1日の政倫審には、清和研の歴代事務総長である西村康稔前経済産業相、松野博一前官房長官、塩谷立元文部科学相、高木毅前自民党国対委員長が出席。4氏は裏金づくりの経緯について「存じ上げない」との答弁を連発し、派閥の実質ナンバー2である事務総長には派閥の政治資金パーティーの収支に関与する権限はなかったと主張した。
もっとも、松野氏は、パーティー収入のキックバック(還流)分などの政治資金収支報告書への不記載は、自身が衆院選で初当選した2000年には行われていた可能性を示唆した。清和研の歴代会長は安倍晋三元首相をはじめ多くが既に他界したが、00年前後に会長を務めた森氏は健在。国民民主党の玉木雄一郎代表は1日、国会内で記者団に「事務総長経験者が語らないということであれば、派閥の長経験者の森氏になんらかの形で出て、お話をしていただくしかない」と述べた。
とはいえ野党が森氏の参考人招致や証人喚問実現を求めたところで、「数の論理」が幅をきかせる国会で実現の道筋は描けない。自民は「政倫審に出席した議員が風通しの良い政治風土をつくる決意を示し、党改革、政治改革を進める覚悟を率直に自分自身の言葉で述べたのは良いことだった」(森山裕総務会長)など、幕引きを図り始めており、証人喚問などに応じる気配はない。
もっとも、現状では真相究明に程遠いとの認識は、与党側も抱いている。公明党の石井啓一幹事長は1日の会見で、安倍派幹部の説明に関し「必ずしも十分とは思っていない。引き続きしっかり説明していただくことを期待したい」とクギを刺した。野党はこうした与党内の声や世論の批判を追い風に、なんとか実態解明に取り組み続けたい考えだ。【安部志帆子、川口峻】
毎日新聞より転用
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