タイ当局、禁錮1年のタクシン元首相に「特別待遇」 市民ら反発
- 国際
- 2024年1月25日
汚職などの罪で禁錮1年の刑に服するタイのタクシン元首相(74)の処遇を巡り、国内で疑念の声が高まっている。昨年8月、事実上の亡命生活を終えて15年ぶりに帰国したタクシン氏は、健康状態を理由に病院にとどまり、これまで刑務所で一晩も過ごしていない。法務省矯正局は1月中旬、タクシン氏について「病院にいるため、囚人と呼ばないで」とする異例の声明も出し、市民団体などが「特別待遇だ」と批判している。
タクシン氏は2006年の軍事クーデターで失脚し、08年に、実刑判決を受けるのを前に国外逃亡した。昨年8月の帰国当日に改めて禁錮8年の判決が言い渡されて刑務所へ収監されたが、翌日未明に体調不良を訴えたため警察病院へ搬送。以来、警察病院で過ごしてきた。年齢や健康状態が考慮され、同9月には国王の恩赦で禁錮1年に減刑されたと発表された。
矯正局は今年1月、タクシン氏の病院内処遇の延長を正式に認めた上で、タクシン氏に「囚人」を意味する用語を使用すべきではないとする声明を出した。一部の地元メディアはタイ語の「ナックトートチャーイ(男性囚人)」という呼称を用いてきたが、声明は「スムーズな社会復帰に影響する」などとして、使用を控えるよう呼びかけた。
タクシン氏に対する恩赦の決定では「これまでの国家への奉仕」も考慮したとされている。地元メディアは、こうした評価が矯正局の対応にも反映されていると指摘した。市民団体などは一連の対応を「特別待遇だ」と批判する。
タクシン氏については刑に服してから半年に当たる2月22日には仮釈放の許可が可能になるとみられる。地元メディアによると、一部の市民グループは矯正局の対応への調査を求める嘆願書を最高裁に提出することを目指すほか、政府官邸周辺でのデモ活動を強化するという。【バンコク石山絵歩】
毎日新聞より転用
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