地震の被害深刻な北陸地方 励ましと恩返し、被災地から被災地へ
- 政治・経済
- 2024年1月4日
東日本大震災から13年の年は、災禍の幕開けとなった。最大震度7を観測した能登半島地震では2011年以来となる大津波警報が発表され、北陸電力志賀原発の状況も心配される。津波の爪痕や建物崩壊の映像に心を痛める東北の人々。北陸の被災地に思いを寄せ、支援の動きも出てきた。
東日本大震災では、東北は北陸からも多くの支援を受けてきた。
宮城県名取市に最初に救助に入ったのは、富山県の緊急消防援助隊だった。同県小矢部市にあるNPO法人「大空へ飛べ」は、宮城での支援コンサートや交流活動を続けている。
「顔の見える支援をいただいたからこそ、心配でたまらなかった」と、名取市閖上で被災した丹野祐子さん(55)は言う。1日夕の地震の直後、富山の知人に「大丈夫?」とメールを送った。すぐに「丹野さんに『命を守るのが一番』と教わってきた。避難するから安心して」と返事が来たという。
丹野さんは念じ続ける。「きっと誰かが助けてくれる。あきらめないで」
元AKBメンバーで俳優の岩田華怜さんは、出身地の仙台市で小学生のとき、震災を経験した。北陸での地震直後からX(旧ツイッター)で避難や安全確保を呼びかけ、災害時に役立つ情報の発信を続けた。
「3・11の時と今は、情報の速さも、我々の知識も違う。被害は少しでも防げるはず」「大丈夫、生きてください」「今、あの時の私と同じ思いをしている人がいると思うと凄く苦しいです。が、一人じゃない」などとつづっている。(石橋英昭)
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仙台市水道局は3日、地震の影響で断水や減水が続く新潟市に、給水車1台と応急給水班、復旧班からなる応援隊6人を派遣した。仙台市は東日本大震災時に新潟市から水道復旧の応援を受け、その後、同市水道局と「災害相互応援に関する覚書」を結んでいた。派遣は5日間程度を予定し、宮城県管工業協同組合の工事用車両9台、組合員11人も同行する。
3日午前6時、太白区の大野田庁舎前で出発式があり、隊長の伊藤本之・東配水課課長が「震災の恩返しになる。復旧の経験と知見を発揮したい」などとあいさつ。新潟市からは2日朝応援要請があり、同日、先遣隊4人が新潟入りした。 また栗原市では3日午後、飲料水や災害用トイレ、生活用品などの支援物資を石川県羽咋市に向けて発送した。(石橋英昭)
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石川県に支援金を寄付しようと、温泉などの複合施設「アクアイグニス仙台」(仙台市若林区)は、施設内7店舗に14日まで募金箱を設置している。同施設は東日本大震災の津波で甚大な被害を受け、集団移転跡地となった藤塚地区に建てられている。2日と3日は、フェースタオルの売り上げを全額、同県に寄付する取り組みも行った。担当者は「災害と向き合っていきたいという思いがある。どういった形であれば、お客様にも(支援を)協力してもらいやすいか」考えたという。
仙台市青葉区の藤崎百貨店本館は2日開店時から、大町玄関口に募金箱を置いて被災地への寄付を募る。利府太鼓を披露するイベント時のアナウンスやX(旧ツイッター)などで協力を呼びかけており、初売りに訪れた客らが寄付する姿が見られた。31日までの予定。(吉村美耶)
朝日新聞社より転用
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