ダイハツ不正、国交省があす本社に立ち入り検査…9年前から件数増で大規模リコールの可能性も
- 政治・経済
- 2023年12月21日
ダイハツ工業が車の衝突試験で不正をしていた問題で、同社は20日、不正の対象がこれまでの6車種から64車種(開発中・生産終了も含む)に拡大したと発表した。ダイハツは国内外で販売中の全車種の出荷を停止する。国土交通省は21日に大阪府池田市のダイハツ本社に立ち入り検査し、道路運送車両法に基づく行政処分を検討する。
不正は社内での認証試験で行われていた。出荷の再開には国交省の監査や許可が必要になる。組み立て後の国の車両の検査を省略して量産するのに必要な「型式指定」が取り消された場合、販売停止は長期に及ぶ可能性がある。販売済みの車両も国の安全基準を満たしていない懸念もあり、大規模なリコールに発展する可能性もある。
外部の弁護士らで作る第三者委員会によると、新たに25の試験項目で174件の不正が判明した。ダイハツが生産して他社ブランドで販売している車両も含まれ、64車種のうち親会社のトヨタ自動車が22車種、SUBARU(スバル)は9車種、マツダは2車種だった。
第三者委の調査では、電子制御での作動が必要なエアバッグをタイマーで作動させたり、法律で定められたタイヤの空気圧を設定しなかったりしていた。最も古い不正は1989年で、2014年以降に増えた。
第三者委は原因として、社内で「短期開発」が重視されていたことを挙げた。「過度にタイトで硬直的なスケジュール」で開発が行われ、試験に合格できなければ販売が遅れるとの懸念から、担当者は「強烈なプレッシャーにさらされながら業務を行っていた」とした。管理職は不正を認識しておらず、「現場任せの状況にあった」とし、組織ぐるみとは言えないと結論づけた。その一方、経営幹部は「対策を講ずることなく、短期開発を推進した」とし、「責められるべきは現場の従業員ではなく、経営幹部である」と断じた。
トヨタの中嶋裕樹副社長とともに東京都内で記者会見したダイハツの奥平総一郎社長は、「認証を軽視しているといわれても仕方がない」と謝罪した。自身の経営責任については、「足元の問題を第一に対応し、再発防止にある程度の道筋をつける」と述べた。
ダイハツは4月、海外で販売している4車種で不正が見つかったと発表した。5月にも国内の2車種で不正が判明していた。
読売新聞より転用
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