全米公開で日本の底力見せた「ゴジラ-1.0」の快進撃 マーベル映画の大作と比べても遜色なし(ラサール石井)
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- 2023年12月7日
【ラサール石井 東憤西笑】#183
11月3日に公開された東宝映画「ゴジラ-1.0」は今も好評ヒット中だが、12月1日から全米公開され、これが大変なことになっている。3日間の興行収入が並み居る大作映画の中で堂々の3位となり、ディズニーの100周年記念アニメを超えてしまったのだ。
日本での1カ月の興収は約40億円なのだが、なんとたった3日で16億円を叩き出した。これは今年の米公開の外国映画では1位。過去の日本のゴジラ作品でも1位という快挙だ。
評判も上々で、並み居る批評家が大絶賛。「その驚くべきビジュアル、感動的な人間ドラマ、そして社会批評のメタファーとしての怪獣の使い方」と手放しで称賛している。
観客の感想でうれしいのは「ゴジラ映画として過去最高なのはもちろんだが、単に映画としても素晴らしい」という意見が多いことだ。
面白いことに日本でのほうが賛否が分かれた印象があった。私も初日に夫婦で見たが、70周年のゴジラと年もほぼ同じ、生涯をゴジラに捧げてきたと言っても過言ではない私は「ついに日本のゴジラ映画もここまで来たか」と感慨ひとしおだった。
だが32歳差の奥さんは「もっとゴジラ見たかった。人間ドラマばっかり」と不満の様子。実際ネットにもドラマ部分の「演技が大袈裟で展開がベタ」なんて評もあった(全然そんなことなかったぞ! 佐々木蔵之介がよかった!)。
まあ世代による思い入れの違いか。私などゴジラ映画で泣かされたのは初めての経験だったのに。
だがアメリカでは日本とは逆にドラマ部分を評価するレビューが多いのだ。字幕で見ているせいなのかも知れないが、うれしいじゃないか。
しかもアメリカ人が驚いているのはその予算だ。日本では公表されていないが向こうでは1500万ドル(約22億円)といわれていて、マーベルなどの大作映画2億ドル(約300億円)と比べて「信じられない。スケールもVFXも見劣りしない」と、これまたうれしい感想が多いのだ。
確かにアメリカ映画の予算の膨らみ具合は役者のギャラも含めてどうかと思うし、日本の現場の恵まれなさも何とか出来ないかとは思うが、やはりこれが日本の底力なのだと思う。知恵とセンス、何より日本的な情感と心意気。それがあれば10分の1の予算でも肩を並べるクオリティーの物が作れるのだ。
「ゴジラ-1.0」はこれからますます世界中で快進撃を続けるだろう。アカデミー賞も夢じゃない。となると、また万博とかが乗っかってくるのかな。やめてほしいな。パソナはもう乗っかってるしな。まあ、おじさんはゴジラが至る所に現れるだけでうれしいけどね。でも夢洲には来ないでほしい。あんな軟弱地盤、壊し甲斐がない。
(ラサール石井/タレント)
日刊ゲンダイDIGITALより転用
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