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自民と旧統一教会「ウィンウィンだった」と元閣僚 今後の関係は


ウィンウィンの関係だった――。2022年7月の安倍晋三元首相の銃撃事件を機に、密接な関係が次々と明るみに出た自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)。政府は旧統一教会に対する解散命令を東京地裁に請求したが、信者からは「散々支援してきたのに」と請求への反発と不満の声が上がる。一方、自民の元議員はかつての選挙支援を「感謝している」と言ってはばからない。自民党と教団との関係は、解散命令請求で清算されることになるのか。

 「今まで家族のようにしてきた人たちが、反社会団体に協力したように扱われている。正常な国家の在り方なのか」。政府による解散命令請求から1週間後の10月20日、福岡市博多区で、教団の信者らによる集会が開かれた。会場には約150人が集まり、壇上の2世信者や弁護士らが解散命令請求の不当性を口々に訴えた。主催団体の幹部は「支援を受けておきながら、事件が起きたらほおかむりの議員をたくさん知っている。散々応援したのに」とこぼす。

自民党は安倍元首相の銃撃事件後の22年9月に点検結果を公表し、所属する衆参両院議員379人のうち180人が教団などと何らかの接点があったと明らかにした。党本部はその後、都道府県連に「関係遮断」を求める通知を出したが、追跡調査などの予定はない。

 一方、毎日新聞が23年10月に実施した世論調査では、自民党が教団との過去の関係を十分に説明したと思うかとの質問に85%が「説明は不十分だ」と回答し、「十分に説明した」の6%、「どちらとも言えない」の9%を大きく上回った。「不十分だ」との回答は自民支持層でも66%に上った。

 当事者はどう考えているのか。衆院で1990年以降8回の当選を重ね、21年の衆院選福岡5区で落選・引退した原田義昭元環境相(79)が10月中旬、毎日新聞の取材に応じた。

 原田氏は自身が選挙で教団の信者から支援を受けてきたことを認め、「今も感謝している」と述べた。一方で現職議員の立場について「急にこういう局面になって『付き合っていたのが悪い』と言われると、言葉も鈍るし、逃げ回らないといけなくなる」と代弁した。

 原田氏は、国政選挙では党の領袖(りょうしゅう)クラスが宗教団体を含む支援団体を各候補者に割り振っていたと証言。そんな中で90年前後に旧神奈川2区で出馬し、教団関連の政治団体「国際勝共連合」の支援を受けたのが始まりだった。

 以降、21年衆院選まで信者の女性数人がボランティアで選挙事務所に入り、原田氏への支援を呼びかける電話をかけていたという。原田氏は「選挙の電話かけは候補者にとって負担が重い。それをちゃんとやってくれる」と女性ボランティアに賛辞を繰り返した。

 一方、高額献金の被害は「霊感商法が問題視された後、(教団は)反省していると思っていた。その後も(問題が)続いていたことを(安倍元首相の)事件の後に知って罪悪感はある」とも述べた。

 政治家が信者を都合のいい選挙活動の人手として、教団が政治家を権威付けの広告塔として利用してきた長年の関係性が浮かび上がる。見解を尋ねると、原田氏は「ウィンウィンの関係だった」と表現した。

「保守主義というより、当選第一主義という党の本質があらわになった」と話すのは政治学者の中北浩爾(こうじ)・中央大教授だ。中北教授は「教団に対して解散命令請求などの厳しい態度を取った点は評価できるが、安倍氏や細田博之・前衆院議長の調査をしなかったことを含めて身内の調査は甘かった」と指摘。「党に矛先が向かないよう、教団に対し『トカゲのしっぽ切り』をしたと言われても仕方がない」と話す。

 解散命令請求を巡っては、東京地裁での非公開の審理を経て判断が示されるが、不服があれば最高裁まで争うことができる。教団側は争う姿勢を示しており、決着には時間がかかりそうだ。

 時間の経過とともに国民の関心が薄れることも懸念される。中北教授は「日本を代表する政党である以上、自民党には教団との過去を引き続き検証する道義的な責任がある」と話した。【平川昌範、田崎春菜】

毎日新聞より転用


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