全銀ネット、送金障害で手数料など費用補償 各行窓口で対応
- 政治・経済
- 2023年10月19日
「全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)」は18日、10、11日に発生したシステムトラブルによる銀行間の送金障害で、顧客が追加で負担した送金手数料などの費用を補償すると発表した。全銀ネットに加盟する全国の金融機関が窓口となって対応する。記者会見した全銀ネットの辻松雄理事長は「決済システム全体の信頼性を揺るがす大きな問題」と述べ、陳謝した。
補償の対象は、送金障害の影響を受けた利用者や企業が、送金可能な別の銀行を利用した際の手数料や、送金ができないことで発生したサービスの延滞金などを想定している。送金時に要した交通費など個別の補償について、全銀ネットは「金融機関によっては個別対応を行うこともありうる」と説明した。
今回の障害は銀行間の送金に使う「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」のトラブルにより発生した。10日朝から三菱UFJ銀やりそな銀など10行で他行宛ての振り込みなどができなくなり、システムが復旧した12日朝までに送金分と着金分を合わせ延べ500万件以上の取引に影響した。一部の自治体では児童手当が送金できないなどのトラブルも発生した。
全銀ネットによると、全銀システムと金融機関をつなぐ「中継コンピューター」と呼ばれる機器を更新した結果、銀行間手数料を読み込む動作時にエラーが起こり、中継コンピューターが機能しなくなった。トラブルに備え東京と大阪の2拠点でシステムを稼働していたが、同時に更新作業をした結果、緊急時の代替機能が働かず、大規模な送金障害に陥ったという。復旧に約2日間を要した。
全銀システムで一般の利用客に影響する障害が起きたのは1973年の稼働以来初めてで、18日に会見した辻理事長は「多くの預金者に多大な迷惑をかけた。おわびしたい」と陳謝。一方、中継コンピューターでエラーが発生した原因について担当者は「現時点で詳細には説明できない」と述べるにとどめた。幹部の処分については、原因究明などの対応後に検討するという。
金融庁は13日、資金決済法に基づく報告徴求命令を出しており、全銀ネットは11月末までに発生原因などを報告する予定。【杉山雄飛、加藤美穂子】
毎日新聞より転用

コメントする