少子化対策「加速プラン」、安定財源どう確保? 取りまとめの焦点に
- 政治・経済
- 2023年10月3日
政府の「こども未来戦略会議」(議長・岸田文雄首相)が2日開かれ、首相が掲げる「異次元の少子化対策」の具体化に向けた議論が始まった。年末の取りまとめに向けて焦点となるのは、年間3兆円台半ばの予算規模となる「加速化プラン」のための安定財源をどうやって確保するかだ。
同会議の開催は「こども未来戦略方針」を決定した6月以来。戦略方針では、2024年度からの3年間で子育て政策を強化する「加速化プラン」で、児童手当の拡充などを盛り込んでいる。岸田首相はこの日の会議で「法制化が必要なものは来年の通常国会での法案提出に向けて準備し、制度設計などの具体化を急がなければならない」と述べた。関係省庁の審議会などで具体化が進められる。
戦略会議で主に議論されるのは加速化プランの安定財源で、28年度までに確保する方針が決まっている。政府は消費税などの増税はしない方針を示しており、医療保険料への上乗せを念頭に置いた「支援金制度」▽「徹底した歳出改革」▽予算の未執行分などの「既定予算の活用」――が3本柱となる。財源が不足する間は「こども特例公債」を発行する。
歳出改革では、社会保障費がやり玉に挙がる。財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)は原則1割となっている75歳以上の窓口負担を原則2割へ引き上げることや、医薬品の自己負担の見直しを求めている。ただ、政府関係者によると、この年末は削減対象として想定される項目を列挙するにとどめ、個別の削減額は詳しくは示さない見通しだ。
支援金制度を巡っては、政府は水面下で医療保険料に国民1人当たり500円程度を上乗せする案を検討している。一方、戦略方針は「実質的に追加負担を生じさせないことを目指す」と明記。歳出改革には保険料の引き下げ効果があり、支援金による引き上げ分を相殺できれば、実質的な負担増とならないという理屈だ。これには与党内からも「(医療費は年々増大しており)保険料としては上がる。うそをついていると言われかねない」との指摘が出ている。
残る既定予算活用の具体策は白紙状態で、三つの柱で3兆円台半ばの額をどのように割り振って捻出するかも決まっていない。政府関係者は「極めて複雑な連立方程式だ」とこぼしている。【小鍜冶孝志、村田拓也、神足俊輔】
毎日新聞 より転用
コメントする