アニメのコスプレで拘留? 「中華民族の精神損なう服装」禁止…中国の法改正案に広がる波紋
- 国際
- 2023年9月20日
中国の「治安管理処罰法」の改正案に「中華民族の精神を損なう服装」などを禁止する内容が盛り込まれ、波紋を広げている。法律の専門家などから「精神」や「感情」を法律に書き込むことに「処罰の範囲を恣意(しい)的に広げる」と疑問視する声が相次ぎ、香港メディアは「修正を求める嵐が起きている」と指摘する。中国で人気がある日本のアニメのコスプレを楽しむ人たちへの影響も懸念されている。
改正案は公共の場所で中華民族の精神を損ない、感情を傷つける服装やシンボルを身に着けたり、作成したりすることなどを禁止し、違反すれば最大で10日以上15日以下の拘留と5千元(約10万円)以下の罰金を科す内容。9月末まで国民の意見を募集し、全国人民代表大会(全人代=国会)のウェブサイトには約9万3千人から11万件を超える意見が寄せられている。
清華大の労東燕教授(刑法学)は短文投稿サイト微博(ウェイボ)に「個人の日常的な服装や言論の自由を不当に抑圧する恐れがある。一部の国との対立を深める可能性もある」と反対を表明。北京大法学院の車浩教授は「民族感情を守る価値がないということではない」と前置きした上で「不当な法の執行によって民族感情と国家のイメージを傷つける結果になりかねない」と指摘した。
香港メディア、星島日報電子版は「和服を着て景勝地で写真を撮ることは『民族感情を傷つける』ことになりかねない」としている。
中国江蘇省蘇州市では2022年に日本の人気漫画の主人公をまねて浴衣を着ていた中国人女性が警察に連行されたとする動画が出回った。日本風の服や旧日本軍の軍服などを着て写真を撮影した人が拘留される事案も相次いだ。
治安管理処罰法は05年に制定。暴力行為など社会秩序を乱すことを取り締まるが、主に軽微な行為を対象とする。
西日本新聞より転用
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