スラムダンク「聖地」、観光客の迷惑行為横行 鎌倉市が対策強化
- 政治・経済
- 2023年8月31日
人気バスケットボール漫画「スラムダンク」の「聖地」として知られる神奈川県鎌倉市の江ノ島電鉄鎌倉高校前駅の踏切周辺で、観光客による迷惑行為が深刻化している。車道に飛び出しての写真撮影などが横行。中国の団体旅行解禁もあり、市は近く、これまで主に土日や祝日に限った警備員を平日にも配置するなど対策強化に乗り出す。
8月下旬に現地を訪れると、スラムダンクに登場する「湘北高校」のユニホームを着るなどした観光客が、踏切を背景にポーズをとってスマホのカメラに収まっていた。すぐそばではひっきりなしに車が通行。時折、公道に出た観光客がクラクションを鳴らされていた。また、地元の人の中にはマイカーで踏切を通行するのを避けて迂回(うかい)する人もいるという。観光客の多くは中国や韓国など外国から集まるファンだ。
「現状は(過度に観光客が押し寄せる)オーバーツーリズム。5月のゴールデンウイークごろから増え始め、多い時には50人以上が踏切付近に集まる」。市の担当者はこう明かす。
鎌倉高校前駅の踏切はテレビで放送されたアニメの冒頭のシーンに登場し、ファンにとっては「聖地」だ。スラムダンクは以前から外国でも人気だったが、今年に入って中国や韓国で映画が公開され、人気に拍車をかけたとみられる。
鎌倉署によると、鎌倉高校前駅の踏切周辺での観光客が多いことや駐車による通報件数は7月末時点で84件。5月は6件にとどまっていたが、6月は19件、7月は37件と月を追うごとに増えている。
こうした状況を受け、これまで土日祝日やゴールデンウイーク、春節や国慶節といった中国の祝日などに配置してきた警備員を平日にも配置する。また市は「人の土地に勝手に入らない」「ポイ捨て禁止」などのマナーを日本語、英語、中国語、韓国語で書いたチラシの配布も始めた。
市の担当者は「警備員の平日配置で安全性の向上に期待し、チラシ配布で外国からの観光客にもマナーを理解してもらいたい」と話している。【橋本利昭】
毎日新聞社より転用
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