ロシア宇宙機関、無人探査機が「月面に衝突し消滅」 約半世紀ぶりの計画失敗
- 国際
- 2023年8月21日
ロシアの国営宇宙公社ロスコスモスは20日、11日に打ち上げた無人月面探査機「ルナ25号」が制御不能になり月面に墜落したと発表した。約半世紀ぶりの月探査は失敗に終わった。
ルナ25号は史上初めて月の南極に着陸し、探査を行う予定だった。この地域に、水氷や貴重な元素が存在する可能性があると、科学者たちは考えている。
しかし、着陸前の軌道へ移行する際に問題が生じたという。
ロスコスモスによると、19日午後2時57分(日本時間同午後8時57分)過ぎにルナ25号との通信が途絶えた。
予備調査の結果、重さ800キロの探査機が「月面との衝突で消滅した」ことが判明したと、同機関は声明で説明した。
ミッション失敗の原因については、特別委員会が調査するという。
ルナ25号を失ったことは、ロスコスモスにとって痛手となる。ロシアでは国家予算における軍事優先が進み、非軍事事業としての宇宙計画はここ数年、衰退を続けている。
月の南極めぐりインドに対抗
ロシアは月の南極への着陸をめぐり、インドに対抗している。インドは数日中に探査機「チャンドラヤーン3号」を月の南極に送り込んで岩やクレーターを探査し、収集したデータや画像を地球に送信する予定。
南極の一部は永久に影に覆われており、水を発見できる可能性がある。
インド宇宙研究機関(ISRO)の広報担当者は、ルナ25号の墜落は「残念」だとした。
「すべての宇宙ミッションにはかなりのリスクが伴うし、高度な技術を要する。ルナ25号の墜落は残念だ」と、ISROはBBCに語った。
ロスコスモスはルナ25号のミッションについて、リスクが高く、失敗する可能性があることを認めていた。
ルナ25号は11日、ロシア極東アムール州のボストチヌイ宇宙基地から打ち上げられ、23日に月周回軌道への投入に成功した。
ロシアはインドの探査計画よりも先に探査機を月面に軟着陸させ、歴史に名を残すと予想されていた。
アメリカと中国はこれまでに、探査機を月面に軟着陸させているが、月の南極への着陸を成功させた国はない。
ルナ25号の打ち上げは、旧ソ連時代の1976年に打ち上げられたルナ24号以来の月探査ミッション。ルナ24号は着陸に成功し、月の土を地球に持ち帰った。
BBCニュースより転用
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