カンボジア総選挙 首相が「地滑り勝利」宣言 「一党独裁」長期化も
- 国際
- 2023年7月24日
カンボジアの下院(定数125、任期5年)総選挙が7月23日、実施された。最有力野党が事前に排除され、フン・セン首相(70)率いる与党・人民党が圧勝する情勢だ。やはり最大野党を解党させて全議席を獲得した5年前の前回総選挙に続き、下院を独占する可能性がある。
ロイター通信によると、フン・セン氏は23日夕、「地滑り的勝利を収めた」と人民党の勝利を宣言。投票率は前回の83%を上回る84%に達したと主張した。
フン・セン氏は首相職の長男への世襲を目指しており、今回の選挙には、権力継承の「信任投票」の意味合いもある。全議席獲得となれば、「一党独裁」体制が長期化することになる。
首都プノンペンや近郊の投票所には、朝早くから長い列ができた。フン・セン氏と長男で陸軍司令官だったフン・マネット氏(45)がそれぞれの投票所に訪れて1票を投じた。
顔に人民党のシンボルのシールを貼っていたスピノックさん(37)は「どの党を選べば国を強く発展させることができるのか、お金を稼げるようにしてくれるかは明らかです」と熱を込めた。
一方、書類の不備を理由に選挙管理委員会が政党登録を認めず、選挙から締め出された最大野党・キャンドルライト党(CP)の支持者は投票先を失ったままこの日を迎えた。政権による野党への弾圧が続き、今は支持を公言することも難しい。
プノンペンの投票所を訪れた20代の男性は、5年前の前回総選挙前に解党に追い込まれた旧救国党を支持し、今回はその流れをくむCPに投票するつもりだったという。しかし、またも投票先を奪われた。投票後、二重投票防止のためのインクをつけた指を見せながら、「当局者が記載台をのぞくので、白票を投じることもできなかった。(前回と同様)この指を切り落としたくなる」と声を潜めて語った。
大勢は数日以内に判明する見込みだが、正式な選挙結果の確定は8月上旬ごろに発表される予定だ。
朝日新聞社より転用
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