日UAE、共同声明発表 脱炭素化の協力強化、気候変動対策「主導」
- 政治・経済
- 2023年7月18日
中東を歴訪中の岸田文雄首相は17日、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビでムハンマド大統領と会談し、気候変動対策に関する共同声明を発表した。UAEは11~12月に行われる国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)議長国。脱炭素化、クリーンエネルギー関連の協力を強化し、COP28の成功に向けて国際社会の気候変動対策を「主導する」と表明した。
両国は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする目標を掲げる。共同声明では、気候変動が「我々が直面する最も差し迫った課題の一つ」と強調。50年までの実質ゼロに「引き続きコミット(関与)する」とし、全ての締約国の関与も求めた。
岸田首相は、COP28開催国のUAEへの全面的な支持を表明。ムハンマド氏は5月の主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)など日本の気候変動を巡る取り組みを評価した。両首脳は、水素などの国境を越えた貿易の活性化に取り組む必要性を強調。UAEから日本への将来的なアンモニア供給に対し歓迎の意を示した。気候変動の影響を受けやすい途上国への支援に積極的に取り組むことでも一致した。
また、18年発表の「包括的・戦略的パートナーシップ・イニシアチブ(CSPI)」に基づき、引き続き両国間協力を進めていく方針も確認するとみられる。5月に中東地域で初めて結んだUAEとの防衛装備品・技術移転協定に基づき、安全保障分野で協力を進めていくことでも一致するとみられる。
これに先立ち、岸田首相は16日(日本時間17日)、サウジアラビア西部ジッダで、同国首相のムハンマド皇太子と首脳会談し、外相レベルで外交や安全保障を協議する「戦略対話」の設置で合意した。日本の技術協力で中東をクリーンエネルギーや重要鉱物の供給拠点とする「ライトハウス(灯台)イニシアチブ」を進めていくことでも一致した。
首相はまた、同国などペルシャ湾岸6カ国で作る湾岸協力会議(GCC)のブダイウィ事務局長とも面会。日本とGCCの外相会合定例化のほか、自由貿易協定(FTA)交渉の24年再開で一致した。FTA交渉は、関税撤廃の対象などを巡って折り合わず09年以降中断していた。
首相は会談後、記者団に、戦略対話について「両国の一層の連携強化のための有効な枠組みの一つになる」と評価。ライトハウスイニシアチブについては「成長するアジア全体の脱炭素を視野に置いた協力を進めていきたい」と語った。【アブダビ畠山哲郎】
毎日新聞社より転用

コメントする