骨太の方針を閣議決定 少子化対策の財源「新たな税負担考えず」
- 政治・経済
- 2023年6月17日
閣議に臨む岸田文雄首相(右から2人目)=首相官邸で2023年6月16日午前9時1分、竹内幹撮影© 毎日新聞 提供
政府は16日、経済財政運営の指針「骨太の方針」を閣議決定した。原案段階では明記されていなかった少子化対策の財源については、歳出改革などで国民に実質的な追加負担を求めず、消費税を含めた新たな税負担は考えないとした。防衛費増額の財源とする増税の実施時期については「2025年以降も可」として先送りを示唆した。骨太の中核となる「新しい資本主義」の実行計画も改定した。
岸田文雄首相は同日開かれた経済財政諮問会議・新しい資本主義実現会議合同会議で「取りまとめた政策方針に基づき予算編成や制度改革の具体化を進め、国民全体が将来に明るい希望を持てる経済社会を作っていく」と述べた。政府は7日に骨太原案を公表したが、少子化対策など一部が空欄だった。与党との調整を経て追加の文言を盛り込み決定した。
少子化対策については、24年度から3年間に取り組む児童手当の拡充や男性育休の取得促進など「加速化プラン」の財源として「歳出改革等によって得られる公費の節減等の効果及び社会保険負担軽減の効果を活用することで国民に実質的な追加負担を求めない」と明記。「消費税を含めた新たな税負担は考えない」とも盛り込んだ。
30年代初頭までにこども家庭庁予算を「倍増」する方針を示した上で、財源については「社会全体でどう支えるかさらに検討する」との表現にとどめた。
防衛増税の開始時期については「25年以降のしかるべき時期とすることも可能となるよう」などと表現。当面の財源として、歳出改革や決算剰余金、外国為替資金特別会計(外為特会)からの繰り入れなどを想定している。
防衛力強化の財源を巡っては、政府は法人税などを「24年以降の適切な時期」に段階的に増税して、27年度に1兆円強を確保する方針を決めている。開始時期を巡っては自民党内に先送りを求める声も強く、党の提言を踏まえて、先送りを強く示唆する内容の文言を盛り込んだ。
教育分野では、長時間労働やなり手不足が指摘されている公立学校の教員の待遇改善が盛り込まれた。
新たな手当の創設や給与体系の改善などを目指すとし、教員に給料月額の4%の「教職調整額」を支払う代わりに残業代を出さないことを定める教員給与特別措置法(給特法)について、24年度中に改正案の国会提出を検討すると明記した。
岸田政権が掲げる「新しい資本主義」についても、構造的に賃金が上昇する仕組みを構築するため、地方や中小・小規模企業の生産性向上を図るとともに「価格転嫁対策を徹底し、賃上げ原資の確保につなげる」と追記した。【遠藤修平】
毎日新聞 より転用

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