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習近平氏がアッバス議長と会談、中東で米けん制の狙い…イスラエルは黙殺


パレスチナ自治区ラマッラの、中国の援助で2021年に完成した公立小学校。コンピューターなど最新設備を備える=13日、福島利之撮影© 読売新聞

 【北京=吉永亜希子、エルサレム=福島利之】中国を公式訪問しているパレスチナ自治政府のマハムード・アッバス議長と習近平(シージンピン)国家主席は14日、北京で会談した。3月にサウジアラビアとイランの外交正常化を仲介した習政権は、パレスチナ和平にも積極的に関与する姿勢を示す。中東への影響力を拡大させ、対立する米国をけん制する狙いがある。

 中国共産党機関紙・人民日報によると、習氏は会談で「世界的な非常事態や中東情勢の新たな変化に向き合い、中国はパレスチナとともに問題の公正で恒久的な解決に向けて協力していきたい」と述べた。中国外務省によると、アッバス氏は習氏が今年迎えた初のアラブの首脳だという。会談後、同省は両氏が「戦略的協力関係を築くことで一致した」と発表した。

 米国を最大の後ろ盾とするイスラエルと対立するパレスチナに対し、中国は長年、経済支援を中心に関係を築いてきたが、パレスチナの和平交渉は静観してきた。しかし、習政権はサウジ・イラン間の仲介で中東外交に自信を深め、政治的な関与を前面に打ち出すようになった。

 習氏は昨年12月、サウジアラビアで行われたアラブ約30か国・機関との首脳会議に初めて出席した。内政不干渉を盛り込んだ宣言を打ち出し、中東諸国との関係強化をうたった。イスラエルに対しても近年、インフラ投資を進めてきた。背景には、中東に対する米国の関与低下がある。

 パレスチナの和平交渉は主に米国が仲介してきたが、トランプ政権が2020年、エルサレムを「首都」とする和平案を発表し、パレスチナ側は猛反発した。アッバス氏は「米国はもはや公正な仲介者ではない」と不信感をあらわにした。

 ただ、中国が複雑なパレスチナ問題にどこまで本腰を入れるかは不透明だ。消息筋は「硬直した課題をあたかも中国が動かそうとしていると見せることを重視している。和平交渉の真の仲介者にはなり得ないのではないか」とみる。

 和平交渉の相手となるイスラエルは、中国の仲介に乗るつもりはない。米国が中国と覇権を争う中で、関わるメリットはないからだ。イスラエル政府はアッバス氏の訪中を黙殺している。

読売新聞より転用


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