ベルルスコーニ元首相が86歳で死去 今月9日に再入院、伊メディア
- 国際
- 2023年6月13日
イタリアのベルルスコーニ元首相=2022年10月、ロイター© 朝日新聞社
長期にわたりイタリア政界に君臨したベルルスコーニ元首相が12日午前、イタリア北部ミラノ市内の病院で死去した。86歳だった。伊メディアが一斉に報じた。慢性白血病に伴う肺感染症で今月9日から入院していた。失言や派手な私生活で晩年まで世間の注目を集め、政界の長老として影響力を維持し続けた。
ベルルスコーニ氏は5月19日までの約6週間、慢性白血病の治療のためにミラノ市内の病院に入院していた。今月9日の再入院時には、地元メディアは「予定された検査のため」と伝えたが、容体が急変したとみられる。
1936年9月29日、ミラノの銀行員の家庭に生まれた。国立ミラノ大学法学部を卒業後、掃除機のセールスマンから起業家に転身。20代で建設会社を立ち上げ、不動産業で成功した。その後は民放テレビを買収し、80年代に新聞社や出版社なども抱えるメディア帝国を一代で築き上げた。名門サッカークラブ・ACミランのオーナーも務めた。米経済誌フォーブスによると総資産は推定で86億ドル(約1兆2千億円)とされる。
94年1月に新党「フォルツァ・イタリア」を創設し、2カ月後の総選挙で政権を奪取。イタリア経済を支えていた中小企業主や自営業者らの支持を受け、その後の17年間で4度首相を務めた。
政界の中心に居座り続ける一方で、スキャンダルにもまみれた。2013年には所有企業の脱税事件で有罪が確定し、議員資格を剝奪(はくだつ)された。私生活では2度結婚・離婚し、5人の子どもがいるが、奔放に振る舞い、植毛やしわ取り美容手術で若さにこだわった。若い女性が好きだと公言し、女性問題も相次いだ。
首相だった10年にミラノ郊外の自宅や別荘で当時17歳のモロッコ人少女を買春したとして起訴されたが、のちに無罪となった。18歳のモデル女性との「不適切な関係」が取りざたされたこともある。未成年者買春に関する裁判で証人を買収して偽証させたとして起訴されたが、無罪になった。(パリ=宋光祐)
朝日新聞社より転用
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