「やりたいこと見えない」 批判消えぬ岸田首相、賃上げカードの狙い
- 政治・経済
- 2023年5月4日
記念撮影する岸田文雄首相ら=2021年10月4日、首相官邸© 朝日新聞社
岸田文雄首相は何をしたいのかわからない――。政権発足から1年7カ月。今もなお、そんな見方がある。実際には何をめざしているのか。
【写真】「安倍さんもやれなかったことをやった」 岸田首相は何を目指すのか
昨年12月、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を受けた不当寄付勧誘防止法(被害者救済新法)が昨年12月10日、参院本会議で可決、成立した。「岸田官邸の転機はこの時だった」。首相と周辺の見方は重なる。首相主導で政治と行政がかみ合い、危機を乗り越えたことが「自信」につながっているのだという。
首相は1月4日、記者会見に臨んだ。「岸田政権の歴史的役割」に触れ、「これ以上先送りできない課題に正面から愚直に挑戦し、一つひとつ答えを出していく」と力を込め、新たに「異次元の少子化対策」を掲げた。
首相をめざす前から「やりたいことが見えない」との批判がつきまとっていた。首相はこう周囲に語る。「先送りされてきた課題はいっぱいある。この先いくらでも他の課題が出てくる。今はやることをやっていくしかない」
やりたいことをやるのではなく、やらなければならないことをやる。そう思い定める首相が次に見据えるのが「賃上げ」だ。
「今年の春闘は、30年ぶりの賃上げ水準となっており、力強いうねりが生まれています。このうねりを地方へ、中小企業へ広げるべく、全力を尽くしてまいります」
首相は4月29日、連合が主催するメーデー中央大会に出席した。首相の出席は2014年の安倍氏以来、9年ぶりだった。
なぜ、賃上げなのか。「賃上げをすれば、負担増も納得してもらえる」。防衛増税や異次元の少子化対策の財源作りを前に、首相は周辺にその狙いの一つをこう明かした。(西村圭史)
朝日新聞社より転用
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