ECB、0・5%利上げ クレディ・スイス経営不安もインフレ抑制優先
- 国際
- 2023年3月17日
欧州中央銀行(ECB)は16日の定例理事会で、主要政策金利を現行の3%から3・5%に引き上げることを決定した。利上げ幅は3会合連続で0・5%。スイスの金融大手クレディ・スイスの経営不安から利上げ幅を縮小する観測も出ていたが、根強いインフレ(物価上昇)を抑制するため、大幅利上げを継続することにした。
ラガルド総裁は会合後の記者会見で「ユーロ圏の銀行業界は資産、流動性の面で強固で耐久性がある」と強調。「必要があれば、いかなる場合でも、ECBが流動性を供給することができる」と述べた。 今回の会見では、次回5月会合以降の利上げの方針は示されなかった。ラガルド氏は「金融市場の不確実性の水準が上がったことで、データに基づいて金利を決定する重要性が増している」と指摘。経済、金融情勢のデータやインフレの動向、金融政策がもたらす各国への効果などを重要な判断材料とすると説明した。
欧州連合(EU)統計局が2日に発表したユーロ圏20カ国の2月の消費者物価指数は、前年同月から8・5%上がり、上昇率は4カ月連続で鈍化。ただ、エネルギー、食品、アルコールなどを除く指数は前年同月比で5・6%上がり、上昇率は3カ月連続で拡大している。このため、ECBはインフレ抑制にはさらに金融引き締めを継続することが必要だと判断した。前回2月の声明でも「根本的なインフレ圧力を考慮し、3月の理事会で0・5%の利上げを実施する方針」と予告していた。
一方、金融引き締めにはリスクも伴う。経営不安からクレディ・スイスの株価が15日に30%超下落して最安値を付け、欧米の主要株式市場も金融株を中心に急落するなど、動揺が広がった。
米国では歴史的なインフレ抑制のために米連邦準備制度理事会(FRB)が実施してきた急激な利上げで債券価格が下落。預金を米国債などの債券の購入を中心に運用してきた中堅行シリコンバレー銀行(SVB)が含み損を抱え、経営破綻した。
ECBが利上げを続けてきた欧州でも、財務基盤の弱い金融機関の経営への影響が懸念されており、金融システムの安定とインフレ抑制をどう両立させるかが当面の課題となる
毎日新聞より転用
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