「日韓関係、新しく出発」 関係改善へ対話加速 首脳会談
- 政治・経済
- 2023年3月17日
岸田文雄首相は16日、2022年5月の就任以来初めて来日した韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と首相官邸で約1時間半会談した。首相は、韓国側が発表した徴用工問題の解決策を評価する姿勢を表明した。両首脳は日韓関係を強化する方針で一致し、両首脳が相互訪問する「シャトル外交」や外務・防衛当局による「日韓安全保障対話」を約5年ぶりに再開させることで合意した。
韓国大統領の来日は、19年に大阪で開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に参加した文在寅(ムン・ジェイン)前大統領以来で約4年ぶり。国際会議に合わせた形ではない来日は11年の李明博(イ・ミョンバク)氏以来で約12年ぶりだ。
会談で首相は「将来に向けて日韓関係の新たな章を共に開く機会が訪れたことを大変うれしく思う」と歓迎し、尹氏も「(会談は)これまでさまざまな懸案で難しい経験をしてきた韓日関係が新しく出発することを両国民にお知らせする特別な意味合いがある」と応じた。
元徴用工訴訟を巡り、韓国政府は6日、賠償を命じられた日本企業に代わって韓国政府傘下の財団が賠償金相当額を支払う解決策を発表した。韓国財団が日本企業に賠償金相当額の支払いを求める「求償権」の行使について、会談後の共同記者会見で両首脳とも「想定していない」と述べた。
会談では11年12月で途絶えている「シャトル外交」の再開に関し「形式にとらわれず頻繁に訪問する」ことを確認した。半導体などの安定供給を念頭に、経済安全保障に関する協議を立ち上げることでも合意した。韓国側が文前政権時代の19年に破棄を通告した「軍事情報包括保護協定(GSOMIA=ジーソミア)」も正常化させる。
両首脳は16日朝に大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の弾道ミサイルを発射するなど北朝鮮が核・ミサイル開発を活発化させていることについても懸念を共有した。地域の安定のため日韓、日米韓の安保協力や「自由で開かれたインド太平洋」の実現の重要性を確認した。【今野悠貴、中村紬葵】
◇日韓首脳会談のポイント
・岸田首相は韓国の元徴用工訴訟の解決策を評価
・両国首脳のシャトル外交を再開する
・約5年ぶりに安全保障対話を再開する
・経済安全保障に関する協議を開始する
・両国の人的交流の活発化を期待する
・日韓や日米韓で協力して北朝鮮の核
・ミサイル問題に対応する
毎日新聞より転用
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