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巨人・原監督から侍ジャパン・栗山監督へエール「鬼になれ。気を使うことはただ一つ。勝つこと」


2009年の第2回WBCで監督として大会2連覇を果たした巨人・原辰徳監督(64)が5日、スポーツ報知の取材に応じ、世界一を目指す侍ジャパンにエールを送った。「スピードとチーム単位の野球」を重視して頂点に立った当時を振り返り、親交の深い栗山英樹監督(61)には勝利にだけ集中するようアドバイスを送り、「鬼になれ」と背中を押した。

 世界一に輝いた14年前を振り返り、原監督はまず2月の宮崎合宿の盛り上がりを印象的な場面に挙げた。  

「初日にベースランニングからやったんだけど、その時に先頭を川崎、2番目にイチローが走った。あの時の歓声、ファンの人がすごかった。いいメンバーをピックアップできたな、いいチームだなと感じた」  

選手選考の際には明確な信念を持って見極めた。  

「サブプレーヤーを先に考えた。内川、川崎、片岡、亀井、捕手では石原と阿部。そこから先発メンバーを考えた。世界一を取るためにはパワーでは勝てない、機動力と、チーム単位で動く自己犠牲ができる選手で構成しようと思った。だから最初の4番は稲葉にした。2番には中島。ナカジは(2番の)経験はなかったけど『ナカジ大丈夫だ、困った時はバントのサインを出すけど自分のバッティングをすればいいから』と。彼は足も速かったからね」  

侍ジャパンを前に進める上で特に重視したことは「このチームは何を誇れるのか」考えることだった。  「誇れるものはスピードとチーム単位の野球だと。そこは自信を持とうと選手の前でも言った。献身性。(控え選手でも)俺はレギュラーじゃないから、という人は誰一人いなかった」  

大会中は藤川の状態が上がらず、米・ロサンゼルスでの決勝ラウンド(準決勝以降)では松坂、岩隈と先発の柱だったダルビッシュを抑えに大抜てきした。  

「(投手コーチの)山田(久志)さんと2人で決断した。ロスでは2日くらい(練習で)時間があって。(ダルビッシュは)1日目は『えー』みたいな感じだったけど、2日目に『分かりました、やります』と。『よしやろう、俺が一緒に戦うから頑張ろう』ということで彼に託した」  

ダルビッシュは決勝戦の韓国戦で1点リードの9回に1失点。同点で延長戦となり、勝ち越した後の10回も続投して試合を締めた。  

「ゼロに抑えれば(世界一)という時に1点取られた。しかし1点で抑えた。追い越されなかった。そこがダルビッシュのすごさであり、それでイチローの最後のタイムリーが出た」  

今大会、栗山監督の侍ジャパンはあの時以来、3大会ぶりの世界一に挑む。  

「WBCの注目度も上がり、真の世界一を決めようという大会になってきているところに非常に面白さがある。久しぶりにいいメンバーが集まったと思う。しかし、野球というのは7対3の力の差があっても3が勝つケースがある。そこが難しさでもあるけど、何とか戦い抜いてもらいたい」  

栗山監督とは以前から親交が深く、何度も野球談議を重ねてきた。  

「彼はいろんな経験もあるし、ずうずうしくやってくれたらなと思います。僕なんかと違って繊細だし、選手のこともよく考えて研究、学習という部分ですごくたけてる人ですから。それによってあまり考えすぎないで、どこかにゲームになれば勝負の鬼となり、自分の直感を信じて戦ってほしいなと思いますね」  

「勝つ」という言葉を連呼して期待を寄せた。

「気を使うことはただ一つ。勝つことです。勝つこと以外何もない。あとは何も気を使う必要ない。勝つこと。目的は勝つこと。勝つことに対して勢いをつける部分だけ考えればいい」  

09年は大会途中で村田が負傷離脱。栗原を緊急招集した。今大会も鈴木誠が左脇腹痛で辞退したが、悲観せず前を向いて結束して戦うことが重要だと説いた。  

「総合力よ。侍だから。オールジャパンだから」  

09年は同じチームと何度も対戦する可能性もある変則ルール。韓国とは決勝まで5度対戦して3勝2敗だった。その中で百戦錬磨の名将も重圧を感じていた。  

「(2次Rで韓国に敗れて敗者復活の一戦に回った)サンディエゴでのキューバ戦、負けたら日本に帰らないといけない。あれはすごいプレッシャーがかかった。最後は2勝2敗できて韓国と5回目。まさに決戦だなという感じで。正直、もう韓国とはやりたくないなって思ったね」 プレッシャー喜びに 国際舞台で重圧がかからないはずがない。そんな特別なWBCで、侍ジャパンのメンバーには目の前の一戦に思い切って挑んでほしいと願っている。  

「この上ないプレッシャーはかかると思う。でも、それを誇りに、それを喜びに変えるしかない。選手は自分を疑わないこと。のびのびと自分を信用して戦ってもらいたいですね」  

◆09年の侍ジャパン 1次R最終戦で韓国に0―1で惜敗し、2位通過で米サンディエゴでの2次R進出。キューバとの初戦は快勝も、続く韓国戦に敗戦。負ければ終戦となるキューバ戦は岩隈の快投などで5―0で勝利し、韓国との再戦を制して雪辱の1位通過をつかんだ。ロサンゼルスに場所を移し、米国との準決勝では先発・松坂から最後はダルビッシュへとつなぐ5人の継投で勝利。大会5度目の対戦となった韓国との決勝は、延長10回にイチローが林昌勇から決勝2点打を放って連覇を達成した。

報知新聞社より転用

スポーツ報知


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