セルビア大統領がロシアに激怒 民間軍事会社がセルビアで戦闘員募集、親密な関係に亀裂
- 国際
- 2023年1月21日
ロシアでプーチン政権の「闇の部隊」とされる民間軍事会社ワグネルが、セルビアで違法に戦闘員を募ったとして、同国のブチッチ大統領はロシアを強く非難し、ロシアによるウクライナ領土の併合を認めないと明言した。セルビア政府が親密な関係にあるロシアを批判するのは異例で、ロシアの孤立がさらに深まる恐れがある。(ヨーロッパ総局)
セルビアのベオグラードで、「ワグネルグループ ロシアの騎士」の言葉とともに描かれた傭兵の壁画(AP)© 東京新聞 提供
ワグネルは昨年12月、インターネット上に戦闘員募集のサイトを開設。ロシア国営放送がワグネルの戦闘員募集の広告を流した。国営ロシア通信は今月、「セルビア志願兵がウクライナの併合地に到着した」と報じ、セルビアがウクライナ侵攻に巻き込まれる動きが加速していた。
ブチッチ氏は16日、「ワグネルはなぜセルビアの法を犯すのか」と現地テレビのインタビューで激怒。18日には、ロシアが2014年に併合した南部クリミア半島と昨年9月に「併合宣言」した東部ドンバス地域について、「今も将来もウクライナのものだ」と発言し、ロシアとの亀裂が明らかになっている。
セルビアの市民団体からは、同国駐在ロシア大使がワグネルの違法な戦闘員勧誘に関わったとして検察庁に告発する動きもあった。
セルビア大統領がロシアに激怒 民間軍事会社がセルビアで戦闘員募集、親密な関係に亀裂© 東京新聞 提供
セルビアはロシアと同じく正教を信奉するスラブ系住民が多数を占める。1990年代末のコソボ独立を巡る紛争で、北大西洋条約機構(NATO)による空爆を受けたことから、反NATO、親ロシアの傾向が強い。ウクライナ侵攻による対ロ制裁にも加わっておらず、ロシアは欧州に影響力を及ぼす際の拠点としての役割を期待している。
ロシアでは侵攻継続に向けた人員が不足しており、プーチン大統領は17日、軍の定員を2026年までに150万人とすることを決めた。実質的な兵員は昨年末時点で推定90万人にとどまっているとみられ、定員数拡大でウクライナや欧米をけん制する狙いもありそうだ。
東京新聞より転用
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